スタジオKAI 概要

スタジオKAI

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/04 09:15 UTC 版)

概要

2019年6月にADKエモーションズの完全子会社として設立[2][注 1]。同年、同じADKホールディングス系列でADKマーケティング・ソリューションズの子会社(当時、現在は独立)であるアニメーション制作会社・GONZOから、一部のアニメ制作事業や知的財産権、その管理・運用に関わる権利義務などを吸収分割により継承した[3][4]

初代代表取締役社長はADKを経てGONZOで代表取締役社長などを歴任した勝村良一が務めた。2代目代表取締役社長は日本アドシステムズの代表を務めスタジオKAI、ADKエモーションズの取締役も兼務していた柴田邦彦が務めた。2024年3月28日付の取締役異動により柴田が退任し、3代目代表取締役社長には取締役を務めた大芝賢二が就任した[5]

社名「KAI」の漢字表記は、船を漕ぐ道具である「櫂」。クレジットでは『スタジオ櫂』と表記されることもある。

設立直後の2019年から2020年はGONZOの下請け・共同制作として活動。同年に同社初の元請作品としてWeb・フルCGアニメーション『虫籠のカガステル』を制作。本作ではGONZOのCG部門・沖縄ゴンゾ(現・スタジオKAIの3DCG部門)がCGアニメーションの実制作を担当した。翌2021年より初のテレビアニメ元請作品『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』を制作。本作以降はGONZOによる制作協力を受けていない。

制作体制

制作部門は演出・作画部門(絵コンテ・演出・原画・動画)、3DCG部門、制作部門(制作進行・制作デスク・制作プロデュース)が設けられている。

同社の演出・作画部門に所属するアニメーターの多くは同社設立時にアニメーション制作会社・サテライトから移籍した『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの主要スタッフ陣である。一方で3DCG部門はGONZOのCG部門で2019年に解散したCGチーム『沖縄ゴンゾ』が当社に部門を移し所属している。制作部門のプロデューサーや制作スタッフに関してはサテライト、GONZOの両スタジオよりスタッフの一部が移籍して所属している。

所属演出家・アニメーター・制作スタッフは上記の通り、シンフォギアシリーズのメインスタッフが多く所属しており、アニメーションプロデューサーの金子文雄と篠笥和也、キャラクターデザイン・総作画監督の藤本さとる[6]、メインアニメーター・作画監督のハニューと坂本俊太、今西亨[7]、アクションディレクターの光田史亮と式地幸喜、演出の成田巧、制作デスクの増尾将史、その他、福田佳太や小畑賢など複数の作画監督陣がサテライトから移籍して所属している。2021年4月1日からは同シリーズの総作画監督を務めた椛島洋介が所属している[8]。この影響から、2020年9月に公開された『戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED』のOPアニメーションを当社が担当した[9]

テレビアニメ初元請作品となった『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』ではアニメーションプロデューサーを増尾将史、アニメーション制作統括を金子、助監督を成田、キャラクターデザインを椛島、総作画監督を椛島と共同で藤本が担当した。また、シンフォギアシリーズで監督であった小野勝巳が演出で参加した他、共同脚本を担当した永井真吾が本作にも脚本で参加。その他、各話演出やプロップデザイン・メインアニメーター・作画監督・原画にも同シリーズのスタッフが多く参加した。本作の3DCGアニメーションに関しては同社3DCG部門が担当している。なお、同社チームは2018年12月に発売された『ウマ娘 プリティーダービー』のOVA作品『BNWの誓い』第2話のアニメーション制作をサテライト名義で担当している[10]

設立時よりアニメーターの社員登用にも力を入れており、演出や作画監督、原画の社内制作率は高い。内製率を高めることにより、スケジュール管理やスタッフ同士の連携が密に行えるため、クオリティの品質維持に繋がっている[11]

作風

所属スタッフ陣は上記の通り、シンフォギアシリーズの主要スタッフで構成されている。本作のほか、スタジオKAI所属スタッフがメインで制作した『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』、『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』6周年MVアニメーション、『シャインポスト』のダンスシーンでは近年主流となった3DCGのアニメーションでは無く、手描きの作画にてアニメーションを制作している[12][13]。該当作品のダンスシーンではシンフォギアシリーズから積み重ねられた経験が活かされているとのこと[11][14]


注釈

  1. ^ 設立と同時にサテライトから一部スタッフが移籍している。
  2. ^ 特撮ドラマ仮面ライダーW」の続編の漫画化作品「風都探偵」が原作[17][16]

出典

  1. ^ a b 第2期決算公告、2021年(令和3年)5月14日付「官報」(号外第106号)101頁。
  2. ^ アニメ制作会社スタジオKAI、第1期決算を官報に掲載 当期純損失4億円 | オタク産業通信”. otakuindustry.biz (2020年5月15日). 2020年12月20日閲覧。
  3. ^ アニメ制作のゴンゾ、一部アニメ作品の制作事業と知的財産権などをスタジオKAIに譲渡”. Social Game Info (2019年6月28日). 2019年6月28日閲覧。
  4. ^ アニメ事業における新会社と株式会社ゴンゾの一部事業分割・承継のお知らせ』(プレスリリース)ADKホールディングス、2019年7月30日https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/190730.pdf2021年4月11日閲覧 
  5. ^ ADK エモーションズ グループ会社取締役の異動に関するお知らせ” (PDF). ADKエモーションズ (2024年2月28日). 2024年3月25日閲覧。
  6. ^ Twitter 藤本さとる 2020年3月29日
  7. ^ Twitter ハニュー XV 2021年1月4日
  8. ^ Twitter 椛島洋介 2021年4月1日
  9. ^ 【戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED】新オープニングムービー
  10. ^ ウマ娘プリティーダービー BNWの誓い(2) クレジット
  11. ^ a b 『シャインポスト』インタビュー。超絶クオリティーのライブシーンや、主人公らしからぬ葛藤が話題を呼んだアニメ版の裏話に迫る【アニメの話を聞きに行こう!】” (2022年11月20日). 2022年11月20日閲覧。
  12. ^ 椛島洋介 Twitter 2021年10月28日
  13. ^ “アイドル物の最後発”として生まれた「シャインポスト」が、実は令和史上に残るアニメであると伝えたい” (2022年10月4日). 2022年10月5日閲覧。
  14. ^ 『シャインポスト』小説&アニメ&ゲーム&リアルライブの一大プロジェクトを生み出すKONAMIの張本人に直撃。プロデュースの秘訣は「がんばる」【アニメの話を聞きに行こう!】” (2022年11月19日). 2022年11月20日閲覧。
  15. ^ “「キャプテン翼」ジュニアユース編TVアニメ化!シュナイダー役は福山潤、10月に放送”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年3月23日). https://natalie.mu/comic/news/517644 2023年3月23日閲覧。 
  16. ^ a b “「風都探偵」第1話(プレビュー版)が無料配信! 監督自らが舞台裏語る“メイキングムービー”も公開”. アニメ!アニメ!. (2022年8月9日). https://animeanime.jp/article/2022/08/09/71299.html 2023年4月7日閲覧。 
  17. ^ “「仮面ライダーW」続編がマンガで始動!TVシリーズのスタッフ集結、スピで連載”. (2017年7月3日). https://natalie.mu/comic/news/239335 2023年4月7日閲覧。 
  18. ^ profile”. スタジオKAI. 2022年10月27日閲覧。
  19. ^ ツインエンジン、新アニメスタジオ「NAGOMI」設立 メンバーはスタジオKAI出身」『KAI-YOU.net』カイユウ、2024年1月29日。2024年3月12日閲覧。


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