wOBA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 11:20 UTC 版)
wOBA (Weighted On-Base Average) は打者の攻撃力を測る指標である。安打や四球など出塁を伴う要素に得点価値を加重して算出される[1]。
- wOBA (2012年MLB) = {0.691×(四球 - 敬遠) + 0.722×死球 + 0.884×単打 + 1.257×二塁打 + 1.593×三塁打 + 2.058×本塁打}÷(打数 + 四球 – 敬遠 + 犠飛 + 死球)
- wOBA (NPB) = {0.69×(四球-敬遠)+0.73×死球+0.92×失策出塁+0.87×単打+1.29×二塁打+1.74×三塁打+2.07×本塁打}÷(打数 + 四球 – 敬遠 + 犠飛 + 死球)
概要
wOBAは打者が1打席あたりにどれだけチームの得点増加に貢献したかを表す指標である。総合指標WARにも用いられており、現在最も利用されている打撃指標の1つである。各要素 (プレー) の係数は実際の試合経過から得られた得点期待値 (RE:Run Expectancy) を用いて算出される。プレーがどのように状況 (得点期待値) を変化させたか調査し、プレーの前後で変動した得点期待値の差分がプレーの得点価値となる。wOBAは出塁率にスケールを合わせているため、.320-.330前後に収まるようにwOBAscaleと呼ばれる定数をかけている。また、係数は過去1年間の試合結果から算出しているため一定ではない。
係数の算出
前述の通り、各係数は得点期待値を基に算出される。 得点価値の算出はLinear Weights#得点期待値を参照
- アウトの価値
打率や出塁率においてアウトは0として計算されるが、実際にはアウト(凡打、三振等)の得点価値はマイナスなので、得点価値をそのまま係数に使用すると出塁率等と同様の感覚で評価を行えない。そのため、各プレーの得点価値からアウトの得点価値を差し引き、アウトの価値を相対的に0とした係数を用いる。 - wOBAscale
さらに直感的に判りやすい数字で表すために、wOBAは出塁率と同等の大きさとなるように調整されている。両者を合わせるためにかける定数をwOBAscaleと呼び、概ね1.15~1.24程度で推移している。MLBでは1.15、NPBでは1.24として計算される事が多い。
以上をまとめて、各係数の算出式は以下のように表される。
- wOBAの係数=(得点価値-アウトの得点価値)×wOBAscale
Standard wOBA
シーズンやリーグによって得点期待値が大きく変化することは少なく、各係数についても同様である。そこで、セイバーメトリシャンのトム・タンゴはFIPのように標準的な係数を用いたwOBAを定義している[2]。
- wOBA(Basic)={0.7×(四死球-敬遠)+0.9×(単打+失策出塁)+1.3×(二塁打+三塁打)+2.0×本塁打}÷(打席-敬遠-犠打)
- wOBA(Speed)={0.7×(四死球-敬遠)+0.9×(単打+失策出塁)+1.25×二塁打+1.6×三塁打+2.0×本塁打+0.25×盗塁-0.5×盗塁死}÷(打席-敬遠-犠打)
失策出塁に関してはデータの入手が難しいため、手に入らない場合は無視してもよいとしている。
応用
wOBAは得点価値をベースに算出されているので、得点単位で打者を評価することが出来る。
wRAA
wRAA (Weighted Runs Above Average) はwOBAを用いて打者の打撃貢献度を測る指標である[3]。平均的な打者が同じ打席数立った場合に比べて増やした得点を示している[4]。総合指標のWARではwRAAをベースに打撃の貢献度を算出している。
- wRAA = (対象打者のwOBA - リーグwOBA) ÷ wOBAscale × 打席数
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