Sora (人工知能モデル)
(Sora2 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/19 16:18 UTC 版)
| 開発元 | OpenAI |
|---|---|
| 初版 | 2024年12月9日 |
| プラットフォーム | OpenAI |
| 種別 | Text-to-videoモデル |
| 公式サイト | sora |
| 人工知能 |
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Sora(ソラ)は、OpenAIが開発したtext-to-videoモデルで、2024年12月にChatGPT PlusおよびChatGPT Proユーザー向けに一般公開された[1]。このモデルは、ユーザーのプロンプトに基づいて短い動画クリップを生成するほか、既存の短い動画を拡張することも可能である。
歴史
Sora以前にも、MetaのMake-A-Video、RunwayのGen-2、GoogleのLumiereといったテキストから動画を生成するモデルが開発されており、Lumiereは2024年2月時点でも研究段階にある[2]。Soraを開発したOpenAIは、2023年9月にtext-to-imageモデルのDALL-E 3をリリースした企業でもある[3]。
Soraを開発したチームは、その「無限の創造力」を表すために、モデルに日本語の「空」という語句にちなんで「Sora」と名付けた[4]。2024年2月15日、OpenAIはSoraが生成した高解像度の動画クリップを複数公開し、最初のプレビューを実施した。公開された動画には、山道を走るSUV、ろうそくの隣にいる「短くてふわふわしたモンスター」のアニメーション、雪の中を東京で歩く二人、そしてカリフォルニア・ゴールドラッシュの偽の歴史映像が含まれており、最大1分間の動画を生成できると発表した[2]。その後、モデルのトレーニング手法を詳述した技術報告書が共有された[5][6]。また、OpenAIのCEOであるサム・アルトマンはXでユーザーのプロンプトに応じてSoraが生成した動画を投稿した。
OpenAIは、将来的にSoraを一般公開する計画を示しているが、具体的な時期は明言しておらず、すぐに公開する予定はないと述べた[2][7]。同社は、誤情報やバイアスの専門家を含む少数の「レッドチーム」に限定的なアクセスを提供し、モデルに対する敵対的テストを行った[3]。また、動画制作者やアーティストを含む少数のクリエイティブな専門家にも共有し、創造的分野での有用性についてのフィードバックを求めた[8]。
2024年11月24日、Hugging Faceで、テスターグループによってSoraのAPIキーが流出し、テスターグループは、Soraが「アートウォッシング」に使用されていると主張し、抗議する声明を発表した。このAPIキーは流出から3時間以内にOpenAIによってアクセスが取り消された。OpenAIは声明で「数百人のアーティスト」が開発に貢献しており、「参加は任意」であると述べた[9]。
2025年9月30日、OpenAIは「Sora 2」を発表、同日にアメリカとカナダでiOSアプリの配信を開始した[10]。SNSのレイアウトを採用しており、生成した動画を他人に共有できる[11]。
2025年10月30日、Sora 2のiOSアプリ配信対象国を日本と韓国にも拡大した。また、同アプリを利用する際は招待コードを受け取ることが必要であったが、これを廃止した[12]。
2025年11月4日、Sora 2のAndroidアプリの配信を世界7つの国と地域[13]にて開始した[14]。
2026年3月25日、OpenAIがSoraのサービスを停止することを発表し、同年4月26日で正式にサービスを停止した。[15]
能力と限界
Soraの技術は、DALL-E 3の技術を応用したものである。OpenAIによれば、Soraは拡散トランスフォーマーであり[16]、デノイズ型潜在拡散モデルで、Transformerがデノイザーとして機能する。動画は、3D「パッチ」をデノイズして潜在空間で生成され、その後、ビデオデコンプレッサーによって標準空間に変換される。 再キャプション付けは、video-to-textモデルを使用して、動画に詳細なキャプションを作成することで、トレーニングデータを補強するために使われる[6]。
OpenAIは、一般に公開されている動画と目的のためにライセンスされた著作権保護された動画を使用してモデルをトレーニングしたが、具体的な数やソースについては明かしていない[4]。発表時にSoraの限界についても認めており、複雑な物理現象のシミュレーションや因果関係の理解、左右の区別が苦手であると述べている[17]。例えば、オオカミの子オオカミの集団が増殖して収束する場面が理解しにくいシナリオを作り出すことがある[18]。また、既存の安全慣行に従い、性的、暴力的、憎悪的、さらに有名人や既存の知的財産を含む内容のプロンプトを制限すると発表した[3]。
Soraの研究者であるティム・ブルックスは、モデルがデータセットだけで3Dグラフィックスを生成する方法を習得したと述べている。同じくSoraの研究者であるビル・ピーブルズは、モデルがプロンプトなしで異なるビデオアングルを自動的に作成したと述べた[2]。OpenAIによれば、Soraが生成した動画にはAIで生成したことを示すC2PAメタデータがタグ付けされている[4]。
反応
MIT Technology Reviewのウィル・ダグラス・ヘブンは、デモ動画を「印象的」と評価する一方で、選別されたものでありSoraの典型的な出力を代表していない可能性があると指摘した[8]。アメリカの学者オーレン・エツィオーニは、この技術が政治キャンペーンにおけるオンライン上の偽情報の作成に使われる可能性について懸念を表明した[4]。同様にWiredのスティーブン・レヴィ は、誤情報の温床となる潜在的な危険性を指摘し、プレビュークリップについては「印象的だが完璧ではない」と述べ、「映画的な文法を芽生えさせた」点を評価した。しかし、「テキストから動画を生成する技術が実際の映画制作を脅かすのは、仮にその時が来るとしても、非常に長い時間がかかるだろう」とも述べた[2]。CNETのリサ・レイシーは、例示動画を「人間の顔が近くで映る場面や海洋生物が泳ぐ場面を除けば、驚くほどリアル」と評した[3]。
映画監督のタイラー・ペリーは、Soraが映画業界に与える潜在的な影響への懸念を理由に、自身がアトランタに計画していたスタジオの8億ドル規模の拡張を保留すると発表した[19][20]。
著作権・肖像権の侵害
Sora 2では著作権者がオプトアウトを申請しない限り、著作物が含まれる動画を生成できるという仕様があり、公開当初はアメリカの著作物を含む画像は生成できない一方、ドラゴンボールやポケットモンスターといった日本のアニメやテレビゲームのキャラクターの動画を生成できることが問題視された[21][22]。
2025年10月3日、OpenAIはこれらの批判を受けて、事前に著作権者がSoraでの使用を許可した場合に限り利用を認めるオプトイン方式に近いシステムに変更することを明らかにすると同時に同社最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマンは日本のコンテンツ制作者に対して、「素晴らしい創造力に感謝の意を表したい」と敬意を表明した[23][24][25]。
また、著作権を巡る批判とは別に肖像権に関するトラブルも指摘されている[26]。アメリカの公民権活動家であるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)を巡る不適切な動画が投稿され、キング牧師の遺産管理団体から対処要請を受けたことから、OpenAIは該当動画を非公開にした[27]。
一方で公開当初はウォルト・ディズニー・カンパニー関連の著作物を含む画像についても生成できなかったが、2025年12月にディズニーはOpenAIに10億ドル(約1550億円)を出資すると同時にディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズのライセンスを2026年から3年間提供することを発表した[28]。
関連項目
脚注
出典
- ↑ “Sora | OpenAI” (英語). openai.com. 2024年12月9日閲覧。
- 1 2 3 4 5 Levy, Steven (February 15, 2024). “OpenAI's Sora Turns AI Prompts Into Photorealistic Videos”. Wired. オリジナルのFebruary 15, 2024時点におけるアーカイブ。 2024年2月16日閲覧。.
- 1 2 3 4 “Meet Sora, OpenAI's Text-to-Video Generator”. CNET (2024年2月15日). 2024年2月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月16日閲覧。
- 1 2 3 4 Metz, Cade (2024年2月15日). “OpenAI Unveils A.I. That Instantly Generates Eye-Popping Videos”. The New York Times. オリジナルの2024年2月15日時点におけるアーカイブ。 2024年2月15日閲覧。
- ↑ “Video generation models as world simulators”. OpenAI (2024年2月15日). 2024年2月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月16日閲覧。
- 1 2 Edwards, Benj (2024年2月16日). “OpenAI collapses media reality with Sora, a photorealistic AI video generator” (英語). Ars Technica. 2024年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月17日閲覧。
- ↑ “OpenAI teases 'Sora,' its new text-to-video AI model”. NBC News (2024年2月15日). 2024年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月16日閲覧。
- 1 2 Heaven (2024年2月15日). “OpenAI teases an amazing new generative video model called Sora”. MIT Technology Review. 2024年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月15日閲覧。
- ↑ “OpenAI Shuts Down Sora Access After Artists Released Video-Generation Tool in Protest: ‘We Are Not Your PR Puppets’”. Variety (2024年11月27日). 2024年12月2日閲覧。
- ↑ “OpenAI、次世代動画生成モデル「Sora 2」を発表──自分や友人が出演する動画を生成できるiOSアプリ「Sora」も米国とカナダで同時公開”. Ledge.ai. 2025年10月3日閲覧。
- ↑ “OpenAIの「Sora」アプリが「App Store」で急浮上--AI動画生成の新たな展開”. ZDNET Japan (2025年10月3日). 2025年10月3日閲覧。
- ↑ 臼田勤哉 (2025年10月30日). “OpenAIのソーシャルアプリ「Sora」、日本で利用可能に”. Impress Watch. 2025年10月31日閲覧。
- ↑ カナダ、日本、韓国、台湾、タイ、アメリカ、ベトナム。
- ↑ スミーレ (2025年11月5日). “OpenAI「Sora」Androidアプリついに登場”. ASCII.jp. 2025年11月6日閲覧。
- ↑ “動画生成AI「Sora(ソラ)」はいつ提供終了する?動画生成AIの今後についても解説”. C-NAPS(シナプス)|LLMO時代のコンテンツマーケティングの課題解決に役立つ情報メディア (2026年4月1日). 2026年5月1日閲覧。
- ↑ Peebles, William; Xie, Saining (2023). “Scalable Diffusion Models with Transformers”. 2023 IEEE/CVF International Conference on Computer Vision (ICCV). pp. 4172–4182. arXiv:2212.09748. doi:10.1109/ICCV51070.2023.00387. ISBN 979-8-3503-0718-4. ISSN 2380-7504. オリジナルのFebruary 17, 2024時点におけるアーカイブ。 2024年2月17日閲覧。
- ↑ Pequeño IV, Antonio (2024年2月15日). “OpenAI Reveals 'Sora': AI Video Model Capable Of Realistic Text-To-Video Prompts”. Forbes. オリジナルの2024年2月15日時点におけるアーカイブ。 2024年2月15日閲覧。
- ↑ “Sora-generated video of wolves playing with some video issues”. ABC News Australia. 2024年5月16日閲覧。
- ↑ Kilkenny, Katie (2024年2月23日). “Tyler Perry Puts $800M Studio Expansion on Hold After Seeing OpenAI's Sora: "Jobs Are Going to Be Lost"” (英語). The Hollywood Reporter. 2024年2月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
- ↑ Edwards, Benj (2024年2月23日). “Tyler Perry puts $800 million studio expansion on hold because of OpenAI's Sora” (英語). Ars Technica. 2024年2月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
- ↑ “「ドラゴンボール」「NARUTO」もそっくり再現 Sora 2使った日本のアニメ風動画がXに続々 自民・塩崎衆院議員は「重大な問題」と指摘”. ITmedia NEWS (2025年10月2日). 2025年10月3日閲覧。
- ↑ “オープンAI 動画生成「Sora 2」発表 著作権めぐる新たな議論に”. NHKニュース. 日本放送協会 (2025年10月2日). 2025年10月5日閲覧。
- ↑ 奈良部健 (2025年10月4日). “動画生成AI「Sora」、著作権配慮し修正へ アルトマン氏が声明”. 朝日新聞. 2025年10月5日閲覧。
- ↑ 共同通信 (2025年10月4日). “動画生成AI、著作権配慮し修正 日本のキャラ酷似で批判”. 47NEWS. 株式会社全国新聞ネット. 2025年10月5日閲覧。
- ↑ 小林泰裕 (2025年10月5日). “オープンAI、動画生成アプリの仕様見直しを表明…日本のアニメキャラの無断利用を制限へ”. 読売新聞. 2025年10月5日閲覧。
- ↑ 奈良部健 (2025年10月15日). “動画生成AI「ソラ」にまた批判 著名人の「侮辱的」利用に怒る遺族”. 朝日新聞. 2025年10月18日閲覧。
- ↑ “OpenAI、「Sora」による故キング牧師の映像生成機能を一時停止 遺産管理団体からの要請受け”. ITmedia NEWS (2025年10月18日). 2025年10月18日閲覧。
- ↑ Molly Schuetz (2025年12月11日). “ディズニー、OpenAIの動画サービスにキャラクター提供-10億ドル出資”. Bloomberg.com. 2025年12月12日閲覧。
外部リンク
- Sora (人工知能モデル)のページへのリンク