ビジャ・エペクエン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/30 15:31 UTC 版)
ビジャ・エペクエン
Villa Epecuén
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村
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2009年の写真
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南緯37度7分51秒 西経62度48分27秒 / 南緯37.13083度 西経62.80750度座標: 南緯37度7分51秒 西経62度48分27秒 / 南緯37.13083度 西経62.80750度 | |
国 | ![]() |
州 | ブエノスアイレス州 |
パルティード | Adolfo Alsina |
設立 | 1920年 |
ビジャ・エペクエン(Villa Epecuén)は、アルゼンチンのブエノスアイレス州にある廃墟の村。1920年代にエペクエン湖畔のリゾート地として開発され、1970年代に繁栄の頂点を迎えたが、1985年に水没して放棄された。
地理
ビジャ・エペクエンは、ブエノスアイレスの南西600kmに位置する塩湖、エペクエン湖のほとりに位置する[1]。カルウエ市からは北へ約7km、エペクエン湖の東岸に廃墟の町が広がっている。
歴史
リゾート地としての繁栄
ビジャ・エペクエンは、1920年代初めに開発された観光の町である[2]。エペクエン湖の塩水には治癒の効果があると考えられており、塩水浴リゾート地として観光客をひきつけたのである[3]。
まもなく、ブエノスアイレスとの間は鉄道で結ばれるようになった[3]。サルミエント鉄道 (Sarmiento Railway) がラーゴ・エペクエン駅 (es:Estación Lago Epecuén) に、またミッドランド鉄道 (es:Ferrocarril Midland de Buenos Aires) とスド鉄道 (es:Ferrocarril del Sud) は付近のカルウエ駅 (es:Estación Carhué) に旅客を運んでいた。
町の繁栄の頂点は1970年代であった[1]。1950年代から1970年代まで、11月から3月にかけての時期には2万5000人の観光客が訪れ、ロッジやゲストハウス、ホテル、商店など280にのぼる企業があった。1985年の水没時、ヴィラ・エペクエンの人口は約1,500人で[2]、5,000人以上の旅行者を受け入れる能力があった[2]。
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1938年
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1980年
水没とその後
気候変動によって、この地域には大量の雨が降るようになった[1][3]。1985年11月10日、湖水は町を守る堤防を越え、町は水没した[1]。居住することはできなくなり、その後再建されることもなかった。
その後も水位は徐々に上昇し、最も深い時期(1993年)には、町は10メートルの水底に沈んでいた[1]。
その後の気候の変化によって水位は低下し、2009年には水没していた町が再び現れるようになった[1]。この町の住民であったパブロ・ノヴァク(Pablo Novak、1930年生まれ)は、町を25年間覆っていた水が引いた2009年に自宅に戻り、以後この町にただ1人の住民として暮らしていた[1]。ノヴァクは2024年1月22日に没するまでこの町に暮らし、その死によってビジャ・エペクエンは正式に廃村と宣言された[4]。
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水につかる町(1985年)
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湖岸線の変化
映像作品において
- 2010年の映画『イン・ザ・ダークネス』And Soon the Darkness(米・仏・アルゼンチン制作、アンバー・ハード、カール・アーバン出演)で、ロケ地として使用された。
- 2013年に制作されたドキュメンタリー Pablo's Villa は、町とパブロ・ノヴァクの生活を記録している[5][6]。
- 2014年5月にリリースされた、トライアル・サイクリストのダニー・マッカスキルを特集した映像作品 Epecuén (レッドブル・メディアハウス)によっても紹介された[7]。
- 2016年に公開されたドキュメンタリー『人類遺産』Homo Sapiens(ニコラウス・ゲイハルター監督)は、世界の廃墟を扱った作品で、当地でも撮影が行われている。
- 2017年制作のアルゼンチンのホラー映画『ブラッド・インフェルノ』Los olvidados (What The Waters Left Behind)(ルチアーノ・オネッティ&ニコラス・オネッティ監督)は当地を舞台にしている。
ギャラリー
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エペクエンの廃墟
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かつての食肉処理場
脚注
- ^ a b c d e f g “The Ruins of Villa Epecuen”. Atlantic. (2011年6月)
- ^ a b c Giambartolomei, Mauricio (2013年3月22日). “Fotoreportaje: el cementerio olvidado del lago Epecuén”. La Nacion 2013年3月23日閲覧。
- ^ a b c Lauren Davis (2012年12月23日). “This Argentinian tourist village sat underwater for 25 years”. io9. 2017年10月19日閲覧。
- ^ Moral, Milton Del (2024年1月23日). “Don Pablo y su vida en Villa Epecuén: la muerte del último habitante de un pueblo que se hundió y emergió en ruinas” (スペイン語). infobae. 2024年12月14日閲覧。
- ^ “Filmmaker Q&A: Matthew Salleh, Pablo's Villa”. Sydney Film Festival (2013年6月7日). 2014年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月30日閲覧。
- ^ Urtext Films (2014年10月3日). “Pablo's Villa”. Vimeo.com. 2021年10月16日閲覧。(
要登録)
- ^ Red Bull Media House (2014年5月27日). “Danny Macaskill's Epucuén”. 2014年5月28日閲覧。
外部リンク
- Come visit our drowned ghost town..., Daily Mail, 10 May 2013
- The Town That Spent 25 Years Underwater, 13 Nov 2012
- ビジャエペクエンのページへのリンク