環境人文学とは? わかりやすく解説

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環境人文学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 13:47 UTC 版)

環境人文学(かんきょうじんぶんがく、: Environmental humanities)とは、言語・倫理・価値観の問題から人間と自然の関係をとらえなおす学問を指す。環境学は主にデータや統計などの実証的な方法をとるが、環境人文学は定量化されにくい面に注目し、歴史的経緯や民族誌、文芸作品の表現、倫理的な問題などを研究する[1]環境問題についての人文学的な研究は1960年代から進められ、分野を横断する学際的な活動によって2010年代以降に環境人文学が形成された[2]


注釈

  1. ^ 「自然」と「環境」という語はしばしば同一視されるが、環境とは自然環境、文化環境、身体環境などにも使われる点で自然とは異なる[3]
  2. ^ 環境倫理学者の鬼頭秀一は、人間と自然の二項対立を解体するために、自然的環境、社会的環境、精神的環境を1つの問題としてとらえる必要を論じている。この3つの環境はそれぞれ自然科学、社会科学、人文科学に対応している[4]
  3. ^ 学際性には専門分野を超えて知のあり方を希求する面と、根源的に知の本質を問うために既存の学術制度では難しい諸問題に向き合うという面がある [5]
  4. ^ 人新世の概念で発展した学際的な分野としては、自然科学における地球システム科学英語版もある[9]
  5. ^ デボラ・バード・ローズによる指摘[13]
  6. ^ 北欧で環境人文学の組織に関わっているスティーブン・ハートマンによる指摘[14]
  7. ^ マルチスピーシーズのアプローチをする学者として、ステファン・ヘムライヒ、エベン・カークセイ、デボラ・バード・ローズ、アナ・ツィン英語版、トム・ヴァン・ドゥーレンらがいる[17]
  8. ^ ネイチャーライティングの系譜には、ハリエット・マレンの『都市の回転草』(2013年)のように都市の環境を短歌で表現する作品もある[20]
  9. ^ エコクリティシズムという言葉は、1978年にウィリアム・リュカート(William Rueckert)が使い始め、スコット・スロヴィック(Scott Slovic)が1984年に文学的表象としての自然の研究を始め、1992年に文学・環境学会英語版(ASLE)が設立された[24]
  10. ^ 原語は The Inscribing Environmental Memory in the Icelandic Sagas [28]
  11. ^ IEMでは「データ」という言葉をめぐる理解の差異など分野横断的な研究における難しさも課題となった[26]
  12. ^ フューチャー・アースは、2012年にロンドンの国際会議「Planet Under Pressure」と同年の「 国連持続可能な開発会議英語版」(Rio+20)によって構想され、2015年に発足した[30]

出典

  1. ^ 山本 2017a, p. 1.
  2. ^ 結城 2017, p. 236.
  3. ^ 森田 2017, p. 236.
  4. ^ 山本 2017b, pp. 2.
  5. ^ 結城 2017, pp. 242–243.
  6. ^ 結城 2017, pp. 241–243.
  7. ^ 森田 2017, pp. 235–336.
  8. ^ ハイザ 2017, pp. 251–252.
  9. ^ イェンセン 2017, p. 1109/7181.
  10. ^ 結城 2017, p. 241.
  11. ^ 森田 2017, pp. 335.
  12. ^ 結城 2017, pp. 238–240.
  13. ^ a b 結城 2017, pp. 238–239.
  14. ^ 結城 2017, pp. 238–229.
  15. ^ 結城 2017, pp. 238–230.
  16. ^ 奥野 2017, pp. 2111, 2141, 2223/7181.
  17. ^ ハイザ 2017, p. 260.
  18. ^ ハイザ 2017, pp. 260–261.
  19. ^ 岡島 1996, pp. 18–19, 25, 27.
  20. ^ ハイザ 2017, pp. 262–264.
  21. ^ グロトフェルティ 1996, pp. 102–103.
  22. ^ ハイザ 2017, p. 253.
  23. ^ ハイザ 2017, pp. 261–262.
  24. ^ スロヴィック 2017, pp. 289–290.
  25. ^ ハイザ 2017, p. 250-251.
  26. ^ a b 結城 2017, pp. 245–246.
  27. ^ 結城 2017, pp. 236–238.
  28. ^ 結城 2017, p. 244.
  29. ^ 結城 2017, pp. 243–245.
  30. ^ “フューチャー・アース”. 東京大学未来ビジョン研究センター. https://ifi.u-tokyo.ac.jp/units/futureearth/ 2021年4月8日閲覧。 


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