江島其磧とは? わかりやすく解説

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えじま‐きせき【江島其磧】

読み方:えじまきせき

[1667〜1736]江戸中期浮世草子作者京都の人。本名村瀬之丞。通称、庄左衛門市郎左衛門井原西鶴のあとを受け、八文字屋自笑のもとで役者評判記浮世草子著した。著「傾城(けいせい)色三味線」「傾城禁短気」「世間子息気質(せけんむすこかたぎ)」など。江島屋其磧。


江島其磧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/25 08:17 UTC 版)

江島 其磧(えじま きせき、寛文6年(1666年) - 享保20年6月1日1735年7月20日))は、浮世草子作者。京都誓願寺通柳馬場角の大仏餅屋・村瀬正孝の子で、名は権之丞、通称庄左衛門。

人物

裕福な大仏餅屋に生まれ、1695年(元禄8年)4代目を継ぐ[1]。文筆の才があり、1696年(元禄9年)『大伽藍宝物鏡』などの浄瑠璃を手がけたと推定される[1]。少年期からの知人であった八文字屋自笑の依頼により、役者評判記『役者口三味線』を刊行し、以降の評判記にそのスタイルが踏襲されるほど、好評を博した[1]1701年(元禄14年)、浮世草子の処女作『けいせい色三味線』を刊行した勢いに乗って、1706年(宝永3年)『風流曲三味線』、1710年(宝永7年)『野白内証鑑』『けいせい伝受紙子』、1711年(宝永8年)『傾城禁短気』を次々と刊行し、書肆菊屋七郎兵衛と提携した西沢一風を圧倒する[1]。これらの作品は無署名、もしくは八文字屋自笑の名前が記されている[2]

家業が傾き始めると、八文字屋との利益配分の不満が噴出し、息子名義で江島屋市郎左衛門という書肆を開業[1]。1711年(正徳元年)『寛𤄃役者片気』、1712年(正徳2年)『野傾旅葛籠』『魂胆色遊懐男』、1713年(正徳3年)『通俗諸分床軍談』といった好色物、1712年(正徳2年)『商人軍配団』、1713年(正徳3年)『渡世商軍談』といった町人物を刊行する。特に、1715年(正徳5年)『世間子息気質』、1717年(享保2年)『世間娘容気』といった気質物は、其磧の代表作となった[2]

其積と八文字屋は1718年(享保3年)に和解する[1]。八文字屋と和解した1719年(享保4年)以降、1720年(享保5年)『浮世親仁形気』『役者色仕組』、1721年(享保6年)『女曾我兄弟鑑』、1723年(享保8年)『桜曾我女時宗』、1726年(享保11年)『出世握虎昔物語』、1727年(享保12年)『頼朝鎌倉実記』を刊行する[2]

1735年(享保20年)6月1日、享年70歳没。晩年には零落していたという逸話が『白鷺洲』に残る[1]

八文字屋刊行の浮世草子と、其磧の作品は「八文字屋本」と呼称される。

主な著書

役者評判記

  • 『役者口三味線』(1699年

浮世草子

  • 『けいせい色三味線』(1701年)
  • 『風流曲三味線』
  • 『野白内証鑑』
  • 『けいせい伝受紙子』
  • 『傾城禁短気』
  • 『寛𤄃役者片気』
  • 『野傾旅葛籠』
  • 『魂胆色遊懐男』(熊倉隆敏の漫画『もっけ』にこの主人公・豆右衛門が登場)
  • 『通俗諸分床軍談』
  • 『商人軍配団』
  • 『渡世商軍談』
  • 『世間子息気質』
  • 『世間娘容気』
  • 『浮世親仁形気』
  • 『役者色仕組』
  • 『女曾我兄弟鑑』
  • 『桜曾我女時宗』
  • 『出世握虎昔物語』
  • 『頼朝鎌倉実記』

脚注

  1. ^ a b c d e f g 岡本勝, 雲英末雄編『新版近世文学研究事典』おうふう、2006年2月、86-87頁。 
  2. ^ a b c 中嶋隆『世間子息気質・世間娘容気』現代教養文庫、1990年6月、421-428頁。 



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