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囲碁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/04/10 14:01 UTC 版)
(わざと打ち から転送)
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囲碁(いご)とは、2人で行うボードゲームの一種。交互に盤上に石を置いていき、自分の石で囲んだ領域の広さを争う。単に碁(ご)とも呼ばれる。
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概要
2人のプレイヤーが、碁石と呼ばれる白黒の石を、通常19×19の格子が描かれた碁盤と呼ばれる板へ交互に配置する。一度置かれた石は、相手の石に全周を取り囲まれない限り、取り除いたり移動することはできない。ゲームの目的は、自分の色の石によって盤面のより広い領域を確保する(囲う)ことである。
アブストラクトゲーム、ボードゲームの一種で、ゲーム理論の言葉で言えば二人零和有限確定完全情報ゲームである[1]。勝敗は、より大きな地(定義の詳細は、ルールの項参照)を確保することで決定される。ゲームの終了は、将棋やチェスと同じように、一方の意思もしくは双方の合意で行われることもある。他のボードゲームと比較した場合の特異な特徴は、ルール上の制約が極めて少ないこと、パスがルール上認められていることがある。
発祥は中国と考えられ、少なくとも2000年以上前から東アジアを中心に親しまれてきた。そうした文化・歴史の中で爛柯(らんか)をはじめとした様々な別称を持つ(#囲碁の別称とその意味)。日本でも平安時代から広く親しまれ、枕草子や源氏物語といった古典作品にも数多く登場する。戦国期には武将のたしなみでもあり、庶民にも広く普及した。江戸時代には家元四家を中心としたプロ組織もでき、興隆の時期を迎えた。明治以降も引き続き広く親しまれ、近年ではインターネットを経由して対戦するネット碁も盛んである。
西洋的な価値観からはチェスなどと同様マインドスポーツ(つまり競技)でもあり、国際囲碁連盟は国際オリンピック委員会が承認する国際スポーツ団体総連合に加盟し、五輪競技としての採用を目指している。中国・広州で開催される2010年アジア競技大会では競技種目として採用された。
日本では古くから親しまれ、駄目、布石、捨て石、定石など、数多くの囲碁用語は、そのまま日本語の慣用句としても定着している。
歴史
詳細は「囲碁の歴史」を参照
実際の起源ははっきりとは判っていない。碁の起源は中国で占星術の一法が変化・洗練されて今の形となったのではないかと言われている。『書経』には堯帝が不品行の人物の教育のために碁を作ったと言う話が載っているが、もちろんこれは寓話であり事実ではない。
少なくとも春秋時代には成立していたようで、『論語』・『孟子』の中には碁の話題が出てくる。『史記』に春秋時代の宋の君主・閔公(びんこう)が部下の南宮万と対局していたときに、閔公が負けそうになったときに悔し紛れで南宮万を侮辱し、怒った南宮万により碁盤で殴られて殺されたと言う。しかし閔公と南宮万がしていた遊戯が碁だったかははっきりせず、別の博打のようなものだったとも考えられている。この時代には「碁」に対応する漢字として「棋」「棊」(キ)「?」(エキ)などが用いられている。
考古学的な考証を見ると、2002年に中国陝西省の考古学者が、前漢の景帝陽陵で、前漢時代(206 BC - 24 AD)のものと思われる陶製碁盤を発見した。この碁盤は17路盤で、出土時に破損していて最長の部分で縦およそ28.5センチメートル、横19.7センチメートル、高さ3.6センチメートルだった。つまり、中国碁は前漢時代17路盤であったと考えられている。現在は様々な発掘から9路盤、17路盤、19路盤というように、盤のサイズが時代とともに変化してきたと考えられている。中国の考古学者の調査によれば、この碁盤は皇帝の陵墓から出土したとはいえ、皇族が使用したものではなく、陵墓の墓守達の遊戯のために使用されていたものと推定されている。このことから、中国では囲碁は2000年前には庶民の間にゲームとして一般的であったと考えられる。
伝統的な中国碁は盤上に多くの石を載せた方が勝ちというルールであった。
碁石碁盤は中国が起源であるが、現在の日本の囲碁ルールは日本独自の日本式ルールである。
その後5世紀には朝鮮へ、7世紀頃に日本に伝わったとされる。その頃から日本の貴族を中心に広く遊ばれ正倉院には碁盤と碁石が収められている。清少納言や紫式部も碁をよく打ったとされ、枕草子や源氏物語中にも囲碁と思われるものが登場する。
室町時代末期からは碁打ちが公家や武将に招かれるなどの専業化も進むとともに、それまでの事前置石制から自由布石への移行も起こった。戦国時代には戦国武将たちに大いに好まれ、織田信長に日海(本因坊算砂)が名人の称号を許されたと言われる[2]。江戸時代には幕府から家禄を受ける家元制度が成立し、囲碁の技術が飛躍的に向上するとともに、将軍御目見えによる御城碁が行われたり、碁会所が生まれるなど庶民の娯楽としても定着した。
1998年ごろには漫画『ヒカルの碁』の影響で若年層にも囲碁ブームが生まれた。
囲碁は日本のみならず韓国、北朝鮮、中華人民共和国、台湾などでも盛んに行われ、その他にも北アメリカ・南アメリカ、ヨーロッパなどでも競技人口が増え続けている。今日、囲碁は世界80ヶ国以上で打たれており、世界選手権も行われている。
日本の囲碁愛好家数は、レジャー白書によると、囲碁人口は2007年末時点で推計200万人である。2007年の年齢別構成は男+女合計で10歳代9.6%、60歳以上8.4%であった。
ルール
囲碁のルールには、いわゆる日本ルールと中国ルール、中国ルールを元に台湾で考案された計点制ルールなどがある。いずれもゲームの進め方や勝敗の判定に大きな違いは無いが、細かい違いはある。以下は日本ルール(日本棋院と関西棋院による日本囲碁規約)を元に説明する。
詳細は「囲碁のルール」を参照
用具
- 碁盤
- 板の上に、直交する縦横それぞれ同じ本数の線分を引いたもの。碁石を置くのは縦線と横線の交点である。一般に、縦横19本ずつの19路盤が使われる。初心者向け、お好み対局向けに13路盤や9路盤、7路盤や6路盤もあり、古来使用されたものには17路盤も存在した。線は最も外側にあるものから順に第1線、第2線……のように呼ぶ。また第4線の交点や辺の中間、碁盤の中心にある黒点を星と呼び、19路盤の場合、9つある(右図参照)。碁盤の中央にある星を特に天元という。
- 碁石
- 単に石ともいう。黒・白の二色あり、合わせて碁盤を埋め尽くせる数(黒181、白180)だけ用意される(グリーン碁石と呼ばれる、濃い緑と薄い緑の二色のものもある)。碁石を入れる器を碁笥(ごけ)と言う。盤上の碁石を数える時の単位は子(し)であり、一つを一子(いっし)、二つを二子(にし)などと表す。
着手に関するルール
- 黒、白の対局者が交互に自分の石を盤上の交点に着手する。
- 相手の石を縦横に隙間なく取り囲むと、ハマとして取り上げることができる(取り上げなければならない)。
図の場合、黒がそれぞれ1と打った場合、△の白が取り上げられる。(盤面上から取り除かれる)
- 取られない石は、盤上に打たれた場所にありつづけ、そこから動かしてはならない。
- 自殺手は禁止(自ら取り囲まれた状態にする手の禁止)。ただしその石を打った時点で相手の石を取ることができる場合は例外。たとえば下図で白が左上aや右上bに打つのは反則(黒からは打ってよい)。ただし左下cや右下dに打てば▲の黒が取れるため、ここに白が打つのは反則にならない。
このルールから、二ヶ所の離れた空間(眼と称する)を持った石は、決して取り上げることができないことになる。たとえば下図左上の黒は周辺をびっしりと白に囲まれているが、白からはaにもbにも直接入り込めないのでこの黒の一団を取り上げることができない。この場合、「黒は生きている」という言い方をする。すなわち、眼を2つ作ることができればその石は生きになる。
なお下図右下の黒は、独立した2ヶ所の眼を持っているわけではないため、白からcなどに打つことができ、いずれ取られることになる。これは二眼ではなく、黒は「死に」ということになる。
石を取るルールと自殺手の禁止のルールによって、囲碁では下図のような石の配置には決してなり得ない。
- 自分が打つことによって、相手が打った直前の局面に戻してはならない。具体的には下図のような場合、黒がaに打てば△の白石を取り上げることができる。
しかしその直後、今度は黒1子がアタリとなっている。白がbの地点に打って黒石を取り返すと、上図の形に戻ってしまう。この形をコウ(劫)と呼ぶ。
これを繰り返すと永遠に対局が終わらないため、同一局面の反復は禁止とされている。つまり上図で黒がaと取った直後に、白がbと取り返すのは反則となる。詳しくはコウの項目を参照。
- (「直前」のみならず、対局中のすべての同一局面の再現の禁止はスーパーコウルールと呼ばれる。通常は用いられない。)
置碁
囲碁におけるハンディキャップ戦として置碁がある。これは実力が下位のものが黒を持ち、予め盤上に黒石を置いた状態でスタートするものである。予め置かれた石を「置石」という。実力差によって、置石は普通2子から9子の範囲で調節される。詳しくは置碁の項参照。
勝敗に関するルール
「死活」も参照
- 自分がどう打っても相手が正しく対応すれば二眼を作ることができない石の一団は「死に」である。終局後に、死んでいる石はハマに加えられる。
- 2006年にルールが改変され、ダメ(打っても得をしない箇所)しか残っていなくても、全てダメを埋めないと終局する事ができない(インターネット対局は例外である)。それまでのルールとしては、これ以上打っても得はないと思えば、パスすることができ、両対局者が続けてパスをすると全てダメを埋めなくても終局となった。
- 相手の石が活きることのできない自分の石の一団に囲まれた領域のことを地と呼ぶ。
- 地の面積とハマの数の和の大小によって勝敗を争う。形勢判断などでは、この和の数値のことを地というため、たとえば、黒地○○目、白地○○目などというときは、この和のことを言う。下図は9路盤での終局図の一例。▲の黒石は生きられないため、「ハマ」として取り上げられ、黒地に埋められる。左上から左下に広がった黒地はこれを埋めて29目、右上から右下を占拠した白地は23目で、この場合「黒の盤面6目勝ち」となる。
- ただし囲碁では先番の黒が有利であり、その分のハンディとして「コミ」が設定されている。多くの場合コミは6目半とされており、この分を黒地から差し引いて計算する。つまり上図では黒が22目半になるので、コミを入れて計算した場合「白の半目勝ち」ということになる。
- 対局中に三劫以上の多元劫、長生、循環劫が発生し双方譲らず同型反復となった場合、対局は無勝負扱いとなる。
なお、中国ルールでは、ほとんどの場合、日本ルールと勝敗判定は変わらないが、イメージは異なる。中国ルールにおいては、ハマではなく、盤上に残った自分の石を地に加えて自分の点数とする。日本ルールの場合ハマと地では地が圧倒的に多いためイメージとしては大きな地を囲い合うゲームであるが、中国ルールでは盤上の石は地より多いため、イメージとしては相手より多くの石を置くゲームということができる。
- ^ 日本の公式戦で使用される囲碁のルールである「日本囲碁規約」の規定上は対局者が合意しないと、無限に続く可能性もあるため、有限なゲームとは分類されないが、事実上有限なゲームで、広くプレイされているゲームであるため、適切な停止条件を考慮した上で、二人零和有限確定完全情報ゲームとして研究されている。
- ^ 実際に「信長から名人の称号を受けた」かには異論もある。詳細は本因坊算砂を参照。
- ^ でるかコンピューター名人 囲碁に確率重視の「モンテカルロ法」朝日新聞2009年4月8日 2009年4月9日閲覧]
- ^ “おかめはちもく”. yahoo辞書. 2012年1月14日閲覧。
