HIP_41378とは? わかりやすく解説

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HIP 41378

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/28 01:38 UTC 版)

HIP 41378
星座 かに座
見かけの等級 (mv) 8.92[1]
分類 F型星[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  08h 26m 27.8490900672s[1]
赤緯 (Dec, δ) +10° 04 49.334175156[1]
赤方偏移 0.000168[1]
視線速度 (Rv) 50.42 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -48.002 ミリ秒/[1]
赤緯: 0.062 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 9.436 ± 0.0208ミリ秒[1]
(誤差0.2%)
距離 345.7 ± 0.8 光年[注 1]
(106 ± 0.2 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 3.8[注 2]
軌道要素と性質
惑星の数 6 (+1?)
物理的性質
半径 1.299 ± 0.002 R[2]
質量 1.245+0.037
0.043
M[3]
平均密度 0.563 ± 0.006 ρ[4]
(0.794 ± 0.008 g/cm3
表面重力 4.32 ± 0.02 (log g)[3]
自転速度 7.5 ± 0.5 km/s[3]
自転周期 7.8 ± 1.0 [2]
スペクトル分類 F8[1]
有効温度 (Teff) 6,371 ± 65 K[5]
色指数 (B-V) 0.599 ± 0.012[6]
金属量[Fe/H] 0.046 ± 0.044[3]
年齢 18+7
6
億年[3]
他のカタログでの名称
BD+10 1799[1]
EPIC 211311380[1]
Gaia DR2 600698184764497664[1]
GSC 00800-01325[1]
K2-93[1]
SAO 97816[1]
TYC 800-1325-1[1]
2MASS J08262784+1004493[1]
TOI-4304[1]
Template (ノート 解説) ■Project

HIP 41378 は、地球から見てかに座の方向にある恒星である。周囲に少なくとも6つの太陽系外惑星が公転していることが知られている[4][5]

特徴

大きさの比較
太陽 HIP 41378

HIP 41378 は質量半径が共に太陽よりやや大きい恒星で、スペクトル分類ではF8型に分類される[1]有効温度も 6,371 Kで、太陽の 5,778 K[7] よりもやや高い[4]ケプラー宇宙望遠鏡の延長ミッション「K2」の観測対象でもあったため、K2-93とも呼称される[1]ガイア計画によって測定された年周視差の値に基づくと、地球からは約350光年(約110パーセク)離れていることになる。

惑星系

観測から想定されている太陽系外の天体の環や星周円盤の大きさを比較した画像。HIP 41378 f は画像右上の土星の隣に描かれており、惑星本体ではなく環も含めた大きさが土星本体と同等の大きさとなっている可能性が示されている。

2016年に太陽系外惑星の探索を目的とするケプラー宇宙望遠鏡の延長ミッション「K2」によって行われたトランジット法(食検出法)での観測で、HIP 41378 の周囲を5つの惑星が公転していることが確認された[8]。この5つの惑星は最も小さいものでスーパーアースほど、最も大きいものでは土星に匹敵する大きさを持つとされている。しかし、この時に HIP 41378 が観測された期間は74.8日間で、それよりも公転周期が長い外側の3つの惑星 HIP 41378 d、HIP 41378 e、HIP 41378 f は1回のトランジット(恒星面通過)しか観測されておらず、推定された公転周期には内側の2つの惑星よりもかなり大きな誤差が含まれていた[6][8]。その後、2018年の夏に50.8日間に渡って再びK2による HIP 41378 が位置する領域の観測が行われ、その結果、HIP 41378 d と HIP 41378 f のトランジットを改めて確認することに成功した。この2つの惑星のトランジットは地上から太陽系外惑星の探索を行っている Kilodegree Extremely Little Telescope (KELT) 、HATネットスーパーWASPによる観測でも検出された[6]

そして2019年に、オート=プロヴァンス天文台による HIP 41378 の視線速度変化の観測などを含めた様々な観測結果を分析した結果、それまで知られていなかった5つの惑星の軌道長半径軌道離心率、質量などが求められ、さらに、HIP 41378 c と HIP 41378 d の間に、トランジットを起こさない6番目の惑星 HIP 41378 g が公転していることが確認されたと発表され[4]2025年にはトランジット系外惑星探索衛星 (TESS) や CHEOPS による観測からも HIP 41378 g の存在を支持する研究結果が報告されている[5]。この HIP 41378 g は他の5つの惑星とは異なり、ドップラー分光法(視線速度法)で発見されたため、軌道傾斜角や半径は知られていない[4]。外側にある3つの惑星は公転周期の比が3:4:6に近く、結果として、HIP 41378 系全体で1:2:4:18:24:36の平均運動共鳴の状態にある可能性がある。また、視線速度変化による観測からは HIP 41378 g と HIP 41378 d の間にさらに惑星が存在する余地が残されていると報告されている[4]2026年には、視線速度変化の分析から HIP 41378 f のさらに外側を約7年かけて公転している7番目の惑星 HIP 41378 h が存在している可能性が示唆されている[2]

これらの惑星のうち、最も外側を公転している HIP 41378 f は、主星からの距離と軌道離心率の低さからハビタブルゾーンの内側付近を公転しているとされており、表面温度は294 K(21 ℃)と推定されている。HIP 41378 f はその大きさを踏まえると土星サイズの巨大ガス惑星であると考えられているが、地球外生命が居住可能なほど十分な質量を持った太陽系外衛星が存在するかどうかを調べるのに最も適した太陽系外惑星の1つとされている[4]。また、HIP 41378 fは土星ほどの大きさを持つが、質量が天王星よりも軽いため、密度が 0.166 g/cm3 と極めて小さくなっている[2]。これは太陽系の惑星の中で最も密度が小さい土星(0.70 g/cm3)の約4分の1しかない。HIP 41378 f が質量の割にこれほどの大きさを持つ原因として、非常に膨張した大気もしくは大型のを持っている可能性が考えられており[4]、環を持っている場合における実際の HIP 41378 f の本体の大きさは地球半径の3.7+0.3
0.2
倍で、天王星海王星とほぼ同等の大きさしかないと推定する研究もある[9]

HIP 41378の惑星[2]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b 6.9 ± 0.5 M 0.1300 ± 0.0009 15.57209 ± 0.00002 0.05+0.03
0.05
88.847 ± 0.048° 2.640+0.022
0.024
 R
c 5.97+0.56
0.86
 M
0.2088 ± 0.0014 31.70591 ± 0.00005 0.044+0.022
0.044
88.475 ± 0.013° 2.740+0.043
0.049
 R
g 6.81+1.14
0.98
[5] M
0.3307 ± 0.0023 64.067+0.026
0.067
[5]
0.055+0.024
0.054
95+1
10
[5]°
d 6.53+2.65
3.15
 M
0.8885+0.0060
0.0058
278.3618 ± 0.0003 0.063+0.027
0.063
89.789 ± 0.005° 3.650 ± 0.029 R
e 7.6+3.2
4.6
 M
1.1195+0.0094
0.0110
393+3
5
0.065+0.031
0.065
89.801 ± 0.003° 5.19 ± 0.04 R
f 25 ± 5 M 1.3856+0.0094
0.0090
542.0797 ± 0.0001 0.052+0.025
0.052
89.948 ± 0.008° 9.47 ± 0.07 R
h (未確認) ≥43+16
13
M
3.94+0.41
0.51
2602+468
433
0.066+0.033
0.066

脚注

注釈

  1. 1 2 パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 Results for BD+01 1799 -- Star”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2026年4月28日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 Grouffal, S.; Santerne, A.; Dumusque, X. et al. (2026). “A decade of monitoring the HIP 41378 planetary system. Masses and orbital periods of six planets and a planet candidate”. Astronomy and Astrophysics. doi:10.1051/0004-6361/202659666. ISSN 0004-6361.
  3. 1 2 3 4 5 Howard, Andrew W.; Sinukoff, Evan; Blunt, Sarah et al. (2025). “Planet Masses, Radii, and Orbits from NASA's K2 Mission”. The Astrophysical Journal Supplement 278 (2): 52. arXiv:2502.04436. Bibcode:2025ApJS..278...52H. doi:10.3847/1538-4365/adc5e4 {{doi}}: 明示されていないフリーアクセスDOI (カテゴリ).
  4. 1 2 3 4 5 6 7 8 Santerne, A.; Malavolta, L.; et al. (2019). “An extremely low-density and temperate giant exoplanet”. arXiv:1911.07355v1 [astro-ph.EP].
  5. 1 2 3 4 5 6 Leonardi, P.; Borsato, L.; Pagliaro, L. et al. (2025). “Transit timing variations in HIP 41378: CHEOPS and TESS confirm a non-transiting sixth planet in the system”. Astronomy and Astrophysics 702: A211. arXiv:2509.14156. Bibcode:2025A&A...702A.211L. doi:10.1051/0004-6361/202555253.
  6. 1 2 3 Becker, Juliette C.; Vanderburg, Andrew; Rodriguez, Joseph E. (2019). “A Discrete Set of Possible Transit Ephemerides for Two Long-period Gas Giants Orbiting HIP 41378”. The Astronomical Journal 157 (1): 13. arXiv:1809.10688. Bibcode:2019AJ....157...19B. doi:10.3847/1538-3881/aaf0a2 {{doi}}: 明示されていないフリーアクセスDOI (カテゴリ).
  7. Williams, David R. (2016年12月16日). Sun Fact Sheet”. NASA. 2017年3月26日閲覧。
  8. 1 2 Vanderburg, Andrew; Becker, Juliette C.; Kristiansen, Martti H.; Bieryla, Allyson; Duev, Dmitry A.; Jensen-Clem, Rebecca; Morton, Timothy D.; Latham, David W. et al. (2016). “Five Planets Transiting a Ninth Magnitude Star”. The Astrophysical Journal 827 (1): L10. arXiv:1606.08441. Bibcode:2016ApJ...827L..10V. doi:10.3847/2041-8205/827/1/L10 {{doi}}: 明示されていないフリーアクセスDOI (カテゴリ). ISSN 2041-8213.
  9. Akinsanmi, B.; Santos, N. C.; Faria, J. P. et al. (2020). “Can planetary rings explain the extremely low density of HIP 41378 f?”. Astronomy and Astrophysics 635: L8. arXiv:2002.11422. Bibcode:2020A&A...635L...8A. doi:10.1051/0004-6361/202037618. ISSN 0004-6361.

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