Albertus
Albertus
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/08/26 13:41 UTC 版)
| |
|
| 様式 | セリフ |
|---|---|
| 分類 | グリフィック |
| デザイナー | ベルトルト・ヴォルペ |
| 委託元 | スタンレー・モリソン |
| 制作会社 | モノタイプ・コーポレーション |
| 制作年月日 | 1932年 |
| 派生品 | Pegasus |
Albertus(アルベルトゥス)は、グリフィック・セリフ体に分類されるディスプレイ書体である。1932年から1940年にかけて、ベルトルト・ヴォルペによりモノタイプのイギリス支社のためにデザインされた。ヴォルペは、13世紀ドイツの哲学者・神学者であるアルベルトゥス・マグヌスにちなんでこの書体を名付けた。
金属彫刻の修業を積んだヴォルペは、青銅に彫り込まれた文字を模してAlbertusをデザインした。この書体は当初、見出し用の大文字として制作された。のちに小文字のローマン体が追加され、さらに筆記体の特徴が強い幅狭のイタリック体が加えられた。Albertusは小さなグリフィック・セリフを持ち、ライト体とイタリック体が提供されている。
制作は1932年に開始された[1]。まず見出し用の大文字がリリースされ、1935年夏の『モノタイプ・レコーダー』誌で先行公開された[2]。1940年までにはその他の字形と小文字も追加された。Albertusは発売以来人気を保ち続けており、金属活字が広く使われなくなった後も、写真植字版やデジタル版がリリースされている。
特徴
- 標準の字形では、大文字 M の中央ストロークはベースラインまで届かず、途中で止まっている。
- 大文字 U は右側にステム(縦画)がある。
- 数字はライニング数字(高さが不揃いなノンライニング数字に対して、大文字と高さが揃った数字)である。
金属活字時代には、ベースラインで止まるディセンダーのない J や、中央ストロークがベースラインまで届く M、ウィリアム・アディソン・ドウィギンズのMetro書体で用いられたものに似た別字形のアンパサンドなど、代替字形が提供されていた[3][4]。
ヴォルペはのちに、より本文組みに適したプロポーションでAlbertusを補完することを意図した、鋭角的なセリフ体「Pegasus」をデザインした。こちらはAlbertusほどの人気を得られず、金属活字時代の末期には人気を失っていたが、1980年にヴォルペの作品を記念する展覧会プロジェクトの一環として、マシュー・カーターがデジタル化し、ボールド体とイタリック体を追加した[5][6]。
使用例
1988年以降、シティ・オブ・ロンドンの通り名を示す標識にはAlbertusの変形版が使用されている[7]。ヴォルペが1989年に亡くなるまで住んでいたランベス・ロンドン自治区でも使用されている[8]。ヴォルペ自身も、ロンドンの出版社フェイバー・アンド・フェイバーのためにデザインしたブックカバーでこの書体を頻繁に使用した。その他、数多くの出版物で用いられている[8]。
出版物以外では、イギリスのシュールなテレビドラマシリーズ『プリズナーNo.6』(1967年 - 1968年)での使用が特に有名である。番組のタイトルロゴのほか、舞台となる特異な収容施設(イタリア風の村)のすべての標識にAlbertusの改変版が使用された。主な変更点は、i と j のドットの削除と、アンシャル体風の e の採用である[9]。また、映画監督ジョン・カーペンターによる複数の作品のオープニングクレジットで使用されたことでも知られている[8]。
デジタル版
モノタイプは2017年、Albertusをアップデートしたデジタル版Albertus Novaをリリースした。これは、大曲都市によって、Pegasusや他の3つのヴォルペ書体を含む「ベルトルト・ヴォルペ・コレクション」の一環としてデジタル化されたものである[10][11]。モノタイプは、このデジタル版を紹介する展覧会をロンドンのタイプ・ミュージアムで開催した[10][11]。大曲は、金属活字時代の代替字形、ヴォルペのレタリングを基にした A、『プリズナーNo.6』のプロダクションデザインで使用されたアンシャル体風の e など、多数の代替字形を追加した[12][13]。
モノタイプの以前のデジタル版も引き続き提供されているほか、アドビ、ビットストリーム、Fontsite、SoftMakerなどからもAlbertusのデジタル版が販売されている[14][15][16]。ビットストリーム版は「Flareserif 821」という名称である。
URW++は、Albertusに類似した「A028」という書体を、GhostscriptおよびTeXで使用するため無償でリリースした。A028にはミディアムとエクストラボールドのウェイトが用意されているが、イタリック体はなく、Linuxシステムをはじめとするオープンソース環境で広く利用できる[17]。
関連項目
- Carter Sans(2011年) - マシュー・カーターによる、Albertusの影響を受けた書体
- Friz Quadrata(1965年) - 類似フォント
出典
- ↑ “Albertus Nova”. Monotype (2019年10月10日). 2019年11月16日閲覧。
- ↑ “Front cover”. Monotype Recorder 34 (2): 1–2. (1935). オリジナルの10 August 2021時点におけるアーカイブ。 2015年9月16日閲覧。.
- ↑ Coles, Stephen; Fidlin, Noah (6 May 2015). “Parachutes by Coldplay”. Fonts In Use. 2016年4月15日閲覧.
- ↑ Coles, Stephen (21 March 2016). “Albertus 481”. Flickr. 2016年4月15日閲覧.
- ↑ Shaw, Paul (10 February 2011). “Overlooked Typefaces”. Print magazine. 2015年7月2日閲覧.
- ↑ Margaret Re; Johanna Drucker; James Mosley; Matthew Carter (1 July 2003). Typographically Speaking: The Art of Matthew Carter. Princeton Architectural Press. pp. 6, 73. ISBN 978-1-56898-427-8
- ↑ Omagari, Toshi. “Toshi Omagari | City of London Street Nameplate Typeface” (英語). tosche.net. 2025年10月28日閲覧。
- 1 2 3 “Albertus: How a Typeface Became the Last Word – and All the Letters – in Literary Style” (英語). Esquire (2021年9月15日). 2025年10月23日閲覧。
- ↑ “Albertus and The Prisoner”. We Made This (2015年2月26日). 2025年10月23日閲覧。
- 1 2 “The Wolpe Collection celebrates a quiet legend of design, Berthold Wolpe”. Monotype Imaging. 2017年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月9日閲覧。
- 1 2 Sinclair, Mark (27 September 2017). “Berthold Wolpe: An Uncommon Type”. Creative Review. 2017年10月9日閲覧.
- ↑ Omagari, Toshi [@Tosche_E] (27 September 2017). “Albertus Nova has lots of OT alternates. These are some of the basic Latin ones”. X(旧Twitter)より2026年8月26日閲覧.
- ↑ Omagari, Toshi [@Tosche_E] (28 September 2017). “Apart from regular OT stuff (e.g. small cap and superscripts), these are unique ones in Albertus”. X(旧Twitter)より2026年8月26日閲覧.
- ↑ “Albertus MT”. MyFonts. Monotype. 2016年8月22日閲覧。
- ↑ “Flareserif 821”. MyFonts. Bitstream. 2016年8月22日閲覧。
- ↑ “Adelon Serial”. MyFonts. Softmaker. 2016年8月22日閲覧。
- ↑ “font-specimens/fonts/encore_des_fontes_manu/A028 at master · greyscalepress/font-specimens”. GitHub (2013年2月22日). 2026年8月26日閲覧。
参考文献
- Blackwell, Lewis. 20th Century Type. Yale University Press: 2004. ISBN 0-300-10073-6.
- Fiedl, Frederich, Nicholas Ott and Bernard Stein. Typography: An Encyclopedic Survey of Type Design and Techniques Through History. Black Dog & Leventhal: 1998. ISBN 1-57912-023-7.
- Jaspert, W. Pincus, W. Turner Berry and A.F. Johnson. The Encyclopædia of Type Faces. Blandford Press Lts.: 1953, 1983. ISBN 0-7137-1347-X.
- Macmillan, Neil. An A–Z of Type Designers. Yale University Press: 2006. ISBN 0-300-11151-7.
- Williams, Owen Berthold Wolpe and His Typeface Albertus Letter Arts Review, Vol 20 No 1, 2006
- Albertusのページへのリンク