浸透探傷試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/06 01:00 UTC 版)
磁粉探傷試験との使い分け
浸透探傷試験と同じく、試験体表面のきずを検出する非破壊検査法として磁粉探傷試験が挙げられる。これらは表面に開口しているきずの検出に適しているという点で共通しているものの、それぞれの特徴をもとに、試験体によって使い分けがされる。
磁粉探傷試験では、試験体を磁化させ、きず部周辺に漏洩磁束を発生させる。このため磁粉探傷試験に適用できる試験体は、磁化することが可能な強磁性体のものに限られる。一方、浸透探傷試験が金属、非金属を問わず、あらゆる素材の試験体に適用することができる試験法であるため、磁粉探傷試験が適用できない試験体が、浸透探傷試験の適用対象となる。強磁性体として知られる物質には鉄鋼が挙げられる。ただし強磁性体であっても、例えば溶接継手などは、部位によっては適切に磁化ができないこともある。この場合は、強磁性体であっても浸透探傷試験の適用対象となる[21]。
その一方で、磁粉探傷試験は試験体表面だけでなく、表面近傍のきずや、きず内に非金属介在物が詰まっているような場合でも検出することができ、また検出性能も割れなどの線状欠陥で比較すると、浸透探傷試験よりも優れている。ただし磁粉探傷試験は電源や磁化装置が必要となり、浸透探傷試験と比較して手軽に実施できるものではない。このため強磁性体に限り、表面近傍のきずや、割れなどの線状欠陥に限定してより詳細な結果が必要となる場合は磁粉探傷試験が、そうでない場合は浸透探傷試験が取り入れられる場合が多い[22]。
まとめると、試験体が強磁性体であり、より高い精度できずの検出が求められる場合は磁粉探傷試験、そうでない場合は浸透探傷試験が用いられる。
注釈
出典
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- ^ a b c d e f g h i j k l 浸透探傷試験Ⅱ・2018年 p.144 11.1.1項
- 1 浸透探傷試験とは
- 2 浸透探傷試験の概要
- 3 磁粉探傷試験との使い分け
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