向井豊昭とは?

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向井豊昭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2009/12/11 17:35 UTC 版)

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向井 豊昭(むかい とよあき、1933年 - 2008年)は、日本小説家

目次

略歴

  • 1933年東京都生まれ。
  • 下北半島で育ち、アイヌ・モシリの小学校で25年間働いた後、東京へ「逃亡」する。
  • 同人誌での活動を経て、1995年、『BARABARA』で第12回早稲田文学新人賞受賞。
  • 以来、同誌を中心に小説、エッセーなど精力的な執筆活動を続けている。
  • 1999年、『BARABARA』で第2回四谷ラウンド文学賞を受賞。
  • 2002年、photographer's galleryの若手写真家とのコラボレーションで行なった自作朗読が伝説として語り継がれている。
  • 2006年、BARABARA書房を設立。『怪道をゆく』、麻田圭子との共作『みづはなけれどふねはしる』を、「0円+冗費税」という脅威の価格にて刊行した。
  • 2007年、手書きの個人誌『Mortos』発刊(限定30部)。第4号(2008年6月)を終刊号とした。
  • 2008年、7年ぶりに商業ベースでの単行本『怪道をゆく』が、早稲田文学会/太田出版より出版された。
  • 2008年6月30日朝、肝臓癌のために死去。最後の作品は、口述筆記で残した「島本コウヘイは円空だった」。

作風・エピソードなど

  • 奇妙な文体とシュールな物語、真摯な問題意識のアンバランスが、ファンに熱狂的な人気を博している。笙野頼子らのマジック・リアリズム町田康中原昌也らのパンク文学に比べる向きもある。
  • アイヌを扱うことが多く、政治的マイノリティを題材とした文学としての評価も高い。「BARABARA」には、知里真志保からの引用がみられる。
  • 批評意識の強い作風で知られる。デビュー作の「BARABARA」は蓮實重彦絓秀実小森陽一高橋源一郎荒川洋治らに激賞され、当時の『早稲田文学』掲載作品では異例なことに、新聞の文芸時評の対象となった。
  • 自身、エッセーにて、平岡篤頼クロード・シモン『三枚つづきの絵』を解説した評論「フランス小説の現在」(『早稲田文学』1984年9月号)に影響されたと語るとおり、ヌーヴォー・ロマン以降の文学的遺産をよく吸収し、独自に換骨奪胎した作風で、同世代の作家が持ち得ない鮮烈さとポップ感覚を作品内に共存させている。しかしながら、商業主義や制度としての批評に対して安易におもねることのない真摯な書き手としても知られる。
  • 柄谷行人が『早稲田文学』誌上に講演録「近代文学の終わり」を発表した際、グローバリズムの波に乗り切れないからと安易に文学的な遺産を切り捨てようとする柄谷の姿勢に対し、自身の「文学を教える」教員としての経験に基づき、果敢にも異議を表明した(「アイデンティティへの道」『早稲田文学』2004年9月号)。同時期に「近代文学への終わり」へ反論を提示した作家として、笙野頼子がいる。
  • 小熊秀雄が持つ「北海道の風土が生んだ反逆と諧謔の精神」の賛同者として知られる。大塚英志が『WB』誌上にて小熊転向説を打ち出した際、『文藝にいかっぷ』に「小熊秀雄への助太刀レポート」、「続・小熊秀雄への助太刀レポート」を著し、徹底して反論した。

作品リスト

単行本

  • 鳩笛(1974年5月、北の街社)
  • 北海道―詩集(向井夷希微、向井恵子との共著、1982年5月、文林堂印刷)
  • BARABARA(1999年3月、四谷ラウンド)
  • DOVADOVA(2001年7月、四谷ラウンド)
  • 怪道をゆく(2006年8月、BARABARA書房)
  • みづはなけれどふねはしる(麻田圭子との共作、2006年12月、BARABARA書房)
  • 怪道をゆく(2008年4月、早稲田文学会[発行]・太田出版[発売])

単行本未収録作品

  • うた詠み(小笠原克ほか[編]『北海道文学全集 第21巻 さまざまな座標2』、立風書房、1981年9月) ※『文学界』同人雑誌推薦作。
  • ええじゃないか(『早稲田文学』1996年9月号)         
  • まむし半島のピジン語(『早稲田文学』1997年2月号)
  • 新たなるわれら迷信探偵団(『早稲田文学』1997年4月号)
  • 武蔵国豊島郡練馬城パノラマ大写真(『早稲田文学』1998年1月号)
  • あゝうつくしや(『早稲田文学』2000年3月号)
  • エロちゃんのアート・レポート(『早稲田文学』2002年1月号、3月号、5月号、7月号、9月号、11月号に連載) ※艶かしくも憎めないコールガールの一人称で書かれた異色の散文。
  • モッコ憑き(『ユリイカ』2002年5月号) ※「エロちゃんのアート・レポート」の系譜に位置づけられる。
  • 箱庭(『ユリイカ』2002年12月号) ※「エロちゃんのアート・レポート」の系譜に位置づけられる。
  • ゴドーを尋ねながら(池澤夏樹ほか[編]『21世紀文学の創造 9 ことばのたくらみ―実作集―』 p.155-182、岩波書店、2003年1月)
  • ト!(『早稲田文学』2004年5月号)
  • アイデンティティへの道(『早稲田文学』2004年9月号) ※柄谷行人「近代文学の終わり」への反論。
  • ゲ!(『早稲田文学』2005年3月号)
  • ドレミの外(『早稲田文学0』、2007年5月)
  • やあ、向井さん(『Mortos』創刊号、2007年10月) ※平岡篤頼の想い出が主題となっているエッセー。
  • 日本国憲法第二十一条(『Mortos』2号、2007年11月)
  • 飛ぶくしゃみ(『Mortos』3号、2007年11月) ※小熊秀雄「飛ぶ橇」を下敷きとした小説。
  • バカヤロー(『Mortos』3号、2007年11月)
  • 日本国憲法第二十一条(『WB』vol.11_2007_winter) ※『Mortos』2号よりの転載。
  • 続・小熊秀雄への助太刀レポート(『文芸にいかっぷ』第25号、2007年12月)
  • 青之扉漏(『早稲田文学1』、2008年4月)
  • 新説国境論(『Mortos』4号、2008年6月)
  • いのちの学校ごっこ(『Mortos』4号、2008年6月)
  • 思想は地べたから(『Mortos』4号、2008年6月)
  • わっはっはっはっはっは!(『WB』vol.13_2008_summer)
  • 島本コウヘイは円空だった(『Mortos』補遺)
  • 島本コウヘイは円空だった(『早稲田文学2』、2008年12月) ※『Mortos』4号よりの転載。解説は池田雄一
  • ぺ、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ(『新ひだか文藝』第3号、2008年12月)
  • 飛ぶくしゃみ(「文藝にいかっぷ」第26号、2008年12月) ※『Mortos』3号の改稿版。
  • パパはゴミだった。(「幻視社」4号、2009年12月)※有志が未発表作品を、遺族と「早稲田文学」の許可を得て同人誌に収録したもの。
  • 四〇代バンバンザイアットホームカウンセリングコーポレーション(1)(「幻視社」4号、2009年12月) ※有志が未発表作品を、遺族と「早稲田文学」の許可を得て同人誌に収録したもの。
  • 六花(「幻視社」4号、2009年12月) ※有志が未発表作品を、遺族と「早稲田文学」の許可を得て同人誌に収録したもの。


研究論文

  • 林浩治「棒ほど願って針ほど叶う―向井豊昭の反逆―」(『戦後非日文学論』 p.204-214、新幹社、1997年11月) 
  • 林浩治「向井豊昭とBARABARAな価値観」(『まにまに』 p.173-182、新日本文学会出版部、2001年2月)
  • 中山昭彦「〈アイヌ〉と〈沖縄〉をめぐる文学の現在―向井豊昭と目取真俊―」(小森陽一ほか[編]『岩波講座 文学 13 ネイションを超えて』 p.165-188 、岩波書店、2003年3月)
  • 嵐大樹「わっはっはっはっは 向井豊昭さんを悼む」(『新ひだか文藝』第3号)
  • 原田照子「旧邸の夏」(『文藝にいかっぷ』第26号)※向井豊昭の訃報をテーマにした小説。
  • 東條慎生「見えないものこそ、見つめなければならないのだ――向井豊昭メモ」(「幻視社」4号) 
  • 岡和田晃「「わたしは誰の命令も受けてはいない。わたしを貫く、歴史の声に突き動かされているだけ」――向井豊昭論序説」(「幻視社」4号)
  • 岡和田晃「向井豊昭氏からの書簡(メール)について」(「幻視社」4号)

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