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2019年8月4日11時過ぎ、横浜市の複合レジャー施設でジェットコースター車両の追突事故が発生した。プラットホームの降車場で乗客を降ろして停止していた車両に、乗客を乗せて後からきた別車両がぶつかったのだ。走行も終盤で大きく減速していたため大惨事には至らなかったものの、追突した車両の先頭座席に乗っていた2人が軽傷を負った。

 事故があったのは、横浜市金沢区にあるレジャー施設「横浜・八景島シーパラダイス」の「サーフコースターリヴァイアサン」(図1)。当時は、定員24人の6両編成の車両2編成を交互に運行させており、その日の25回目(試運転含む)の走行で事故が起こった*1。追突した車両(事故機)には、定員に近い23人が乗車していた。

図1 事故を起こしたコースター
図1 事故を起こしたコースター
「横浜・八景島シーパラダイス」の「サーフコースターリヴァイアサン」。定員24人の6両編成で走行していた。(出所:国土交通省)
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*1 通常は1編成での運行だが、ゴールデンウイーク期間と夏季休暇期間は2編成で運行していた。事故当時は夏季休暇期間だった。

 事故を受けて、国土交通省の社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会(以下、調査部会)が事故原因の調査を開始。2020年7月に事故調査報告書(以下、報告書)を公開した1)。同報告書に基づいて事故原因をみてみる。