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 米プロアメリカンフットボールNFLは現地時間の2021年3月18日、試合中継の放映・配信契約をメディア各社と新たに結んだことを発表した。これまでの契約が22年、23年で満了となることから33年まで更新した形である。テレビ中継の権利に関しては地上波のCBS、Fox、NBC、スポーツ専門局のESPNで構成される点はこれまでと変わっていない。

 ただ、今回驚かされるのがその放映権料である。NBC、Fox、CBSの3ネットワークに関しては、これまでからほぼ倍増となる、それぞれ年20億ドル、22.5億ドル、21億ドルになったと見られているのだ。ESPNは35%増と他よりも増額幅が小さいものの、放映権料は他よりも多い27億ドルとなった模様である。つまり、NFLには放映権料だけで年約100億ドル、11年間で1100億ドルという多額の収益が入ることになる。

 驚くほどの高額契約が結べた背景には、NFLの圧倒的な人気がある。テレビの視聴者数が減るなかで、NFLの中継はダントツの視聴者数を誇り続けている。20年の番組別視聴者数ランキングにおいて、優勝決定戦のスーパーボウルを筆頭に上位のほとんどをNFL中継が占めたほどである。

 今回の契約で大きな成果をあげたと評価されているのが、ESPNとその親会社であるディズニーだ。ESPNはこれまで月曜夜に開催され、全米中継される「マンデーナイトフットボール」(MNF)の放送を担当してきた。それは変わらないが、シーズン開幕後、チームの調子によって放送カードを変更できるフレキシブルスケジュールの権利を得た。さらにディズニー傘下の地上波ABCがMNFを3試合放送でき、26年と30年のスーパーボウルの放送権を勝ち取ったからだ。放映権料は高いが、それなりのものを得られたといえるだろう。