昭和のことば

小林旭の雄姿か、アニメキャラか…世代の分かれ目!? マイトガイ(昭和34年)

事情を知らない平成生まれの若者が聞くと、新種の貝の名前にしか聞こえないと思うが、当時は相当にかっこいいことばだったはずだ。「マイトガイ」とは、この年、『南国土佐を後にして』で脚光を浴びた日活ニューフェイス、小林旭の愛称である。

ダイナマイトのような男(ガイ)を短縮した和製英語。『ギターを持った渡り鳥』などでダイナマイトな活躍を見せた「旭アニキ」にふさわしい呼び名だ。後年出版された著書(『さすらい』新潮社)で本人から明かされたところによると、彼は肉しか食べないらしい。なんともダイナマイトだ。

この年の主な事件は「第3次南極観測隊、昭和基地に置き去りにされた樺太犬『太郎・次郎』の生存を確認」「東京・千鳥ヶ淵戦没者墓苑完成」「皇太子ご成婚、ミッチー・ブーム頂点に」「国民年金法公布」「ミス・ユニバースに日本代表の児島明子が輝く」「日産自動車、ダットサン・ブルーバード発売」「台風15号、中部地方を襲う。死者5041人、被害家屋57万戸(伊勢湾台風)」など。

この年の映画は『荷車の歌』『野火』。本は『にあんちゃん』(安本未子)、『海辺の光景』(安岡章太郎)など。テレビでは『スター千一夜』『ローハイド』が流行。街では爆音でオートバイを疾走させるカミナリ族が横行した。

若者がマイトガイを知らないとばかり思っていたら、もう1人のマイトガイがいた。人気アニメ『NARUTO』に登場する熱血教師「マイト・ガイ」である。へんなおかっぱ頭が特徴。どうやらこのマイトガイということば。小林旭の雄姿を思い浮かべるか、アニメのおかっぱ痛快キャラを思い浮かべるか、世代の分かれ目となっている。(中丸謙一朗)

〈昭和34(1959)年の流行歌〉 「南国土佐を後にして」(ペギー葉山)「黒い花びら」(水原弘)「黄色いさくらんぼ」(スリー・キャッツ)

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