JR北陸本線で日本海に面する都市・敦賀から長さ約14キロの北陸トンネルを抜けた先は尋常ではない雪世界だった。小さな通過駅では線路からホームの高さまで雪が積もっていた。
2月5日から8日かけて福井県北部から石川県加賀地方は、「昭和56年豪雪」を上回る豪雪に見舞われた。国道8号はまひ状態が続いたが、報道だけでは「なぜ」という疑問が残った。そこでJR北陸本線が動き始めた2月10日、福井へと向かった。
知りたかったことの第一は、なぜ国道8号で1500台ものクルマが身動きできなくなったのか、だ。福井県災害対策本部の坪川利隆企画幹らによれば、まず高速道路である北陸自動車道が積雪のため加賀ICから武生ICの間、47・6キロが31時間通行止めとなり、福井県を通過するクルマが並行している国道8号へと迂回(うかい)集中したことが原因という。
国道8号は福井平野を貫く唯一の幹線道路だが、福井平野の北端、石川県との県境には牛ノ谷峠というアップダウン部分がある。標高わずか80メートルにすぎない峠だが、大雪では大型車両にはきつい場所だ。とりわけエンジンを積んだ運転席部分に貨車部分を連結した構造のトレーラータイプのトラックは、雪道では足をとられやすい弱点があるという。