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【ブリュッセル=酒井圭吾】北大西洋条約機構(NATO)は4日、ブリュッセルの本部でフィンランドの新規加盟を正式決定し、31か国体制を始動させた。ウクライナを侵略するロシアへの抑止力強化を図る。
加盟30か国の中で新規加盟を最後に承認したトルコが4日、国会批准書をブリンケン米国務長官に手渡すなどの最終的な手続きを行い、加盟が決まった。4~5日に開かれるNATO外相理事会にはフィンランドも加わり、NATOの新体制やウクライナ支援をテーマに協議する。
NATO本部で開かれた加盟式典では、加盟各国の外相が見守る中、フィンランド国旗が掲揚された。フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領は式典で「非軍事同盟の時代は終わり、新しい時代が始まった」と強調した。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は「フィンランドはより安全になり、NATOはより強くなる」と期待を示した。
NATOの新規加盟は2020年の北マケドニア以来となる。ロシアとの国境が南北1300キロ・メートル以上にわたるフィンランドは長年、ロシアに配慮して非軍事同盟の立場を取ってきた。ウクライナ侵略開始後の昨年5月、安全保障戦略を転換させ、スウェーデンとともに加盟申請した。トルコは「テロ対策が不十分」などとしてスウェーデンの承認を保留し、3月にフィンランドだけを承認した。
ロシアは軍事的な緩衝地帯を失い、隣国フィンランドが集団的自衛権を有するNATO加盟国になることで地域の緊張が高まる可能性がある。タス通信によると、ドミトリー・ペスコフ露大統領報道官は4日、「ロシアの国益と安全保障を侵害するもので、状況の悪化と見ている。戦術的、戦略的に対抗策を講じざるを得ない」と述べた。