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【バンコク=津田知子】国軍がクーデターを強行したミャンマーで、国軍側が、国民民主連盟(NLD)政権の実質トップだったアウン・サン・スー・チー氏が就いていた国家顧問の役職を廃止していたことが24日、明らかになった。スー・チー氏の政治的権限を奪うことで影響力を排除し、国軍主導の政治体制が始動していることを強調する狙いがあるとみられる。
本紙通信員によると、国軍が設置した意思決定機関「国家統治評議会」が19日付で、国家顧問の業務を調整する「国家顧問府」を廃止した。内務省が22日に評議会から報告を受けたという。これにより国家顧問の役職が事実上、廃止された。
国家顧問は、2016年に発足したNLD政権が、軍事政権が定めた憲法の規定で大統領に就任できないスー・チー氏を実質的な最高指導者にするために新設した。国軍は「憲法に規定されていない役職で憲法違反だ」と反対したが、NLD政権に押し切られた。
国軍側はクーデターでスー・チー氏を拘束し、小型無線機を不法に輸入したことなどに関する法律違反で訴追。スー・チー氏は外相も兼務していたが、国軍側が新しい外相を任命したことで事実上解任されていた。
一方、国軍側は23日、スー・チー氏と同様に拘束していたNLD政権の一部閣僚を解放した。資源・環境保護相のオン・ウィン氏ら4人で、拘束に対する国内外の批判を和らげようとしたとの見方も出ている。