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カブトムシは昼間も活動できるのに、オオスズメバチの強さに手も足も出ないから、仕方なく落ち葉の下で休んでいる――。山口大理学部の小島渉講師(37)(昆虫生態学)が、カブトムシは夜行性という常識を覆すこんな研究成果を発表し、昨年11月、米国の生態学専門誌「Ecology」に掲載された。(谷口善祐)
小島講師によると、昨年8月中旬の早朝、山口市徳地地区のクヌギ林でたまたま目撃した。1本のクヌギに集まって樹液を吸う約10匹のカブトムシの様子を観察していると、突然、数匹のオオスズメバチが飛んできたという。
オオスズメバチは素早くカブトムシの脚にかみつくと、次々と木から投げ落としていった。体の大きさならカブトムシに軍配が上がるが、わずか5分で全て排除して餌場を占領。小島講師は「1匹も逃さない徹底ぶりに驚いた」という。
その後も2日間、早朝の1本のクヌギの餌場を観察すると、同様にオオスズメバチに追いやられるカブトムシが確認できた。中には、地上に落下した後も
樹液に集まる昆虫の顔ぶれは、昼間はチョウやハチ、カナブンなどが主。一方、夜間はカブトムシのほか、クワガタムシやガに入れ替わる。このことからカブトムシは夜行性と思われてきたが、小島講師はこの観察を通して疑問が湧いた。
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