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広島工業大や東京大などの研究チームが、漁業に大きな影響を及ぼすクラゲの大量発生に備え、クラゲを駆除する水中ロボットの開発を進めている。海中へ投入すると、人間が操作しなくても自動的にクラゲを探して捕捉・粉砕する設計。2024年度に瀬戸内海などで実証実験を計画しており、実用化によって漁業被害の軽減を目指す。
日本近海ではエチゼンクラゲやミズクラゲがしばしば大量発生し、漁業への影響が問題視されている。漁網を重みで破ったり、一緒に水揚げされる魚を傷つけたりして、被害額は年約100億円に上ることもあるとされる。
広島工業大の
これまでの実験では、ゼラチンで作った模擬クラゲ1匹をホースで吸入し、10秒以内に粉砕できたという。今年度からは国の「科学研究費助成事業」(科研費)による約500万円の助成を受け、開発を本格化。改良を進め、24年度に瀬戸内海や鹿児島県沖などで駆除の実験を行う。海中での姿勢制御やゴミと判別する性能なども確かめ、ロボットの完成を急ぐ方針だ。
安助教は「網にかかったクラゲを手作業で取り除く漁師たちの負担軽減につながる。将来的にはサイズの大きいエチゼンクラゲを駆除するロボットも開発したい」と話している。