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自民党安倍派の政治資金規正法違反事件を巡り、岸田首相(党総裁)が元幹部の4氏を聴取するのは、安倍元首相から不透明な資金還流を中止するよう直接指示されたにもかかわらず、組織的不正を止めなかった点を問題視しているためだ。党は聴取を踏まえて処分を最終判断する。
26日は首相と茂木幹事長、森山総務会長が都内のホテルに塩谷立、下村博文・両元文部科学相の2氏を個別に呼び出し、計約2時間かけて還流継続の経緯について聞き取りを行った。聴取対象は、安倍氏が還流中止を指示した2022年4月に会長代理だった塩谷、下村両氏と、事務総長だった西村康稔・前経済産業相、参院安倍派会長だった世耕弘成・前参院幹事長の4氏。最大の焦点は、4氏が出席した同年4月と8月に行われた二つの幹部協議だ。
4月の協議で安倍氏は「非常に不透明で疑念を生じかねない。(還流)そのものをやめる」と還流の中止を指示した。だが、安倍氏の死去後の8月に行われた協議では、明確な対応方針がまとまらず、結果的に安倍氏の指示は放置されたとされる。4氏の一人は「何も決めていないのに、幹部協議に参加したという理由で重い処分になるのは納得できない」と語る。
もっとも、党執行部は4氏について「派閥運営に責任を持つ立場だった」(幹部)ことを問題視している。安倍氏が還流中止を指示したのは4月とされるが、「3月に安倍氏を交えて協議しているはずだ」(関係者)との指摘もある。14日の参院政治倫理審査会でこの点を尋ねられた世耕氏は「記憶に残っていない」と述べたが、党内からも「説得力がない。誰かが還流を意図的に復活させたのではないか」(中堅)と不信の目が向けられている。