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高知県最西端・宿毛市の沖の島で、島民の命と健康を守るために生涯をささげ、映画「孤島の太陽」のモデルにもなった保健婦(現保健師)荒木初子さん(1917~98年)の功績を伝える「荒木初子記念館」が老朽化し、今月末で閉館する。映画で主演を務め、日本芸術院の今年度の新会員に選ばれた俳優・樫山文枝さん(82)からも、メッセージが寄せられた。(広浜隆志)
急斜面にある記念館は木造平屋。館長の田辺定文さん(82)と妻の一枝さん(76)によると、荒木さんの父親が80年以上前に自宅として建てた。
戦後間もない1949年、駐在保健婦として古里に赴任した荒木さんは、沖の島と鵜来島で島民への健康指導と、衛生意識の向上に奔走。島民を苦しめていたフィラリアの病原菌を媒介する蚊の駆除に尽力し、乳児の死亡率を改善させ、フィラリアも撲滅させた。
67年には日本の文化活動に貢献した個人団体をたたえる「吉川英治文化賞」の初代受賞者に。翌年、映画が制作され、島でのロケは島民が出演者やスタッフを自宅に泊め、エキストラも務めるなど協力した。
しかし、荒木さんは映画の試写会に招かれ上京した際、脳
荒木さんの死後、自宅は島民や島外に暮らす島出身者、荒木さんの活動に共鳴する団体などが支援。2012年7月、島出身の園田和子さん(77)らが呼びかけ「保健婦初子の会」を結成し、生誕100年の記念碑を建てる運動を始めた。
正式に記念館とし、田辺さんが館長に。会設立から3年後、全国から約1400人、約835万円の寄付が集まり、弘瀬港に荒木さんの石像が建てられた。
記念館は老朽化で床が抜け、雨漏りもひどくなった。会員の高齢化で維持が難しくなり、園田さんらは市と協議し、閉館を決めた。「残念だが仕方がないです」と園田さん。島外に暮らす親族も了承したという。
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