完了しました
2018年の西日本豪雨で甚大な浸水被害が出た岡山県倉敷市真備町などで国土交通省が進めている小田川と高梁川の合流点を下流に付け替える事業で、同省は29日、小田川から新たな流路への通水を開始した。今後、両河川を分離する堤防工事に取りかかり、来年3月の完成を目指す。
西日本豪雨の際には本流の高梁川の水位上昇により、支流の小田川の水が本流に流れにくくなる「バックウォーター現象」が発生。小田川の堤防が決壊し、周辺の約4600棟が全壊するなどした。
事業では合流点を約4・6キロ・メートル下流に付け替えることで、大雨が降っても小田川の水位は現状よりも大幅に低下し、氾濫のリスクを減らす効果があるという。川沿いの山を20年1月から掘削するなどして新たな流路を作った。
現在、小田川と新たな流路は直径70センチの管で結ばれており、この日、管を塞ぐ土のうを重機で持ち上げると、小田川から水が勢いよく流れ込んだ。今後、管を撤去した上で、通水箇所を広げ、今の合流点を分離する堤防も整備する。
水が通る様子は地域住民ら数十人も見守った。地元の防災啓発団体「川辺復興プロジェクトあるく」代表(44)は「安心して暮らすことのできる地域に一歩近づいたと思う。ハード面の整備に安心するだけでなく、地域住民もしっかり防災に取り組みたい」と語った。
交通情報はこちら