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今後の要人警護の見直しで柱の一つになるのが、銃器対策だ。92年に栃木県で金丸信・自民党副総裁(当時)が銃撃される事件が起きた後、警察は銃器対策訓練を強化したが、警戒の主眼はあくまで刃物による襲撃だった。銃社会の米国などとは異なるためだ。
だが、山上徹也容疑者(41)はインターネットで銃や火薬の作り方を調べ、容易に手に入る材料を使って銃を作り上げていた。誰でも銃を手にできる現実が浮き彫りとなり、対策の強化が不可欠となった。
要人の地方遊説に同行する警視庁の警護員(SP)の運用拡大もポイントだ。現場の警護は都道府県警が担うが、要人の来訪がほとんどない地域では、経験不足から穴が生じやすい。警察幹部は「地方に派遣するSPの増員などが課題になる」と話す。
警察庁の関与のあり方も問われている。同庁はこれまで首相退任者については警護計画をチェックしてこなかったが、それでよいのか。そもそも要人警護は国が主導すべきではないか。議論が必要な点は多い。
宮内庁も事件を深刻に受け止めている。皇室は訪問先での触れ合いを大切にするが、危険と隣り合わせだ。警察出身の西村泰彦・宮内庁長官(67)は14日、記者会見で「国民との親和を妨げない形でいかに安全を確保するか、永遠の課題と言ってもいい」と語った。
自民党が20日に開いた調査会では「要人側にも訓練が必要ではないか」との声があがり、高市早苗・政調会長(61)は「私たちも万全の態勢を作っていかないといけない」と話した。
関係機関が一体となり、抜本的な対策を講じられるか。正念場を迎えている。
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