箱根路の興奮伝えた綱渡りの実況録音…1953年NHKラジオ中継開始

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 テレビでの生中継が始まる以前、箱根駅伝を当日伝えていたのがNHKのラジオ放送だった。戦後の1953年、第29回大会からスタートしたが、一度だけ中止されたことがあった。

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1962年、雪の積もった5区でトップを走る中大の中島輝雄。後方からNHKラジオの放送車が追う
1962年、雪の積もった5区でトップを走る中大の中島輝雄。後方からNHKラジオの放送車が追う

音声を小刻み送信、まとめて午後1時に放送

 当初のラジオ放送は、往路、復路とも午後1時からだった。松本弥太郎・元NHK運動部長の「箱根駅伝70年史」への寄稿によると、コース上の品川から小田原まではノイズがひどく、生中継ができなかった。

 そのため、1区の品川以降は放送車内で録音し、3区に入る戸塚の民家から電話回線で送信。4区の終わる小田原までの録音は、サイドカーで5区途中の小涌園基地へ送った。そして、午後1時からの放送は録音した音声で始め、後半を生放送に切り替えたという。

 当時、慶大競走部でマネジャーを務め、中継所で記録係のアルバイトをした田中淳浩さん(87)は「記録は全て手計算。上位と下位が離れすぎて、放送に間に合わないこともあった」。中継所の記録は全て集まるとサイドカーに託して放送車に届けたため、下位が離れすぎると、なかなか追いつけなかった。

 その後、放送を困難にする時代の変化があった。自動車の普及が進み、交通事情が悪化。復路の時差スタートが厳しくなり、66年、6区が全校一斉スタートとなった。さらに、7区以降の繰り上げスタートも増え、見た目では本来の順位が全くわからなくなってしまった。正確な順位、正しい記録の放送が困難になったとして、ラジオ放送は73年に中止された。

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