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新聞輪転機メーカー「東京機械製作所」(東京)に投資会社「アジア開発キャピタル」(同)側が敵対的買収を仕掛けていた問題で、読売新聞東京本社など新聞6社は25日、アジア開発側から東京機械の株式計32%を取得すると発表した。
また、東京機械、アジア開発側、読売は同日、アジア開発側が今後は東京機械株を取得せず、株主総会招集請求権などを行使しないとの合意書を締結した。東京機械の経営方針を巡る対立は全面的に解決する。
売り主はアジア開発の子会社「アジアインベストメントファンド」。新聞6社の株式の取得割合は読売25%、中日2・5%、朝日2%、北国、信濃毎日各1%、北海道0・5%。1株当たり800円で市場外の相対取引により取得する。
新聞社側は、新聞発行を安定的に続けるために東京機械の経営安定が必要と判断した。同社の経営の独立を尊重し、株主の立場で支援する。
東京機械の「グループ中期経営計画」(今年1月)では、自動搬送ロボット(AGV)の開発・量産化、人工知能(AI)搭載型の新聞輪転機の拡充、外部パートナーとの部品の共同購入によるコスト削減などを挙げており、同社の成長戦略の推進について、新聞社側は自社の知見やネットワークを生かして支援する。
新聞・通信40社は昨年9月、東京機械の経営が不安定になれば、新聞の印刷・生産体制に支障が生じる可能性があると懸念を表明した。
アジア開発側は、新聞各社に面談を呼びかけるとともに、非公式に読売に対し株式譲渡による事態収拾を図る相談をしてきた。読売は業界の支援が必要として、複数の新聞社に協力を要請していた。
アジア開発側は昨年7~8月、東京機械株を急速に買い進めた。東京機械の買収防衛策に対し、アジア開発側は発動差し止めを求める仮処分を申請したが、防衛策の適法性を認める司法判断が確定した。
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新聞各社が発表したコメントは以下のとおり。
読売新聞東京本社・山口寿一社長 「東京機械製作所の安定は国内新聞各社の経営の安定に直結します。東京機械の企業価値向上に向け、全力で支援します」
中日新聞社・大島宇一郎社長 「東京機械製作所の経営安定は、同社製新聞輪転機ユーザーである当社の事業継続にとっても重要です。今後も新聞発行を守り続ける姿勢を明確にしたい、との判断から今回の共同歩調の枠組みに参加しました」
朝日新聞社・中村史郎社長 「かねて東京機械製作所の株主である当社は、ニュースの伝達を支える新聞印刷の機能を安定的に維持していくことの重要性に鑑み、このたび東京機械株式を追加取得することにいたしました」
北国新聞社・温井伸社長 「東京機械製作所の経営安定は新聞の安定発行に不可欠です。新聞社有志とともに株主の立場で東京機械の成長を支えます」
信濃毎日新聞社・小坂壮太郎社長 「日々の新聞発行を支える輪転機メーカーの経営安定は弊社にとっても重要で、株式取得はその目的に沿うものと判断しました」
北海道新聞社・宮口宏夫社長 「今回の株式取得は、新聞業界の安定と発展に資する施策と考えています」