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坊さん、ぼーっとする。 白川密成著

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 評・南沢奈央(女優)

 坊さん、インターネットをやりすぎている。

 主語が「坊さん」になった途端に、「非日常かつ奇抜な感じ」になる。でも同時に、親近感が湧く。SNSでの自分の行動や発言に対する「反応」を追いかけてしまう。愛媛県・栄福寺の住職である著者は、その一人なのだと言う。

 本書は、お坊さんとして、二児の父として、現代人として、日常をつづった随筆集。各項の最後には「まとめ」的に、密教経典『理趣経』を一節取り上げて紐解ひもといているので、日常と結び付けて仏教の教えや考えに触れることができる。

 <日々に読誦どくじゅ作意さい思惟しゆいせば(日々に読み上げ、心をめぐらせ、深くその意味を考えるならば)>

 経典との付き合い方について書かれた一節。一過性のネット上の情報、他人の反応に気を取られていると、失うものがあるのだと我に返る。そして今必要なのは、「ぼーっとした待つ時間」。

 日々の気付きの中から、「生きる上で大切な感覚」をしっかりすくい取る一冊。読み終え、ぼーっとしてみたら、少し上を向いていた。桜のつぼみがほころび、春の日差しが暖かい。 (ミシマ社、1700円)

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1120996 0 書評・レビュー 2020/03/22 05:00:00 2023/09/28 03:40:59 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/03/20200330-OYT8I50010-T.jpg?type=thumbnail

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