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クルーズオブザイヤー2023にMSCベリッシマ、ジャパネットにクルーズプラネットも

  • 2023年12月27日
受賞者たちによるフォトセッションの様子

 日本外航客船協会(JOPA)はこのほど、「クルーズ・オブ・ザ・イヤー2023」の授賞式を開催し、グランプリ(国土交通大臣賞)としてMSCクルーズジャパン、ジャパネットサービスイノベーション、クルーズプラネットの「MSCベリッシマ 日本周遊クルーズ」を表彰した。クルーズ・オブ・ザ・イヤーは日本で販売されたクルーズ商品のうち、特にオリジナリティにあふれ、日本のクルーズ市場の拡大に貢献したものなどを表彰するもので、2008年度からJOPAが主催。今年は4年ぶりの開催となった。

選考委員会の一同とともに登壇する池田氏

 グランプリは今回3社合同での受賞となった。授賞式で登壇した、選考委員長の池田良穂氏(大阪府立大学名誉教授・大阪公立大学客員教授)によれば、MSCクルーズについては最新鋭の17万トンクラスの客船「MSCベリッシマ」(乗客定員5686名)を8ヶ月間にわたり日本に配船してクルーズを実施し、チャーターを含めて10万人超を送客したことを評価。「2019年の日本人のクルーズ人口が35.7万人なので、約3分の1を一隻で稼いだことになる」と説明した。

 ジャパネットサービスイノベーションについては、13航海を全船チャーターし、テレビショッピングといういままであまりない販売チャネルで4万人以上を集客したことを評価。クルーズプラネットについては音楽グループ「Mighty Crown」と協業し、レゲエをテーマにしたクルーズを実施して20代から50代の新たな客層へのアプローチに成功しており、「17万トンのクルーズを満船にして行うのは画期的。これからの日本クルーズを振興するうえで良い事例になる」と語った。

(左から)JOPA会長の遠藤氏、国土交通副大臣の國場氏、MSCクルーズジャパン代表取締役社長のオリビエロ・モレリ氏、営業部長の区祥誠氏

 3社を代表して挨拶したMSCクルーズジャパン代表取締役社長のオリビエロ・モレリ氏は、関係者に謝意を表明するともに「MSCクルーズジャパン創立15周年を迎える今年に受賞することは最高の喜び」とコメント。「2023年は難しい1年だったが、来年はさらにチャレンジングな1年となる。お客様はクルーズを求めているので、提供するために業界の皆様に一緒に盛り上げてほしい」と呼びかけた。

 このほか、授賞式ではJOPA会長で郵船クルーズ代表取締役社長の遠藤弘之氏が挨拶。23年は外国籍クルーズ船の寄港も再開し、寄港回数が過去最高となった港も多い「クルーズ再開の年」であったことを語り、4年ぶりにクルーズ・オブ・ザ・イヤーを開催できたことに喜びを示した。

 また、国土交通大臣賞を授与した国土交通副大臣の國場幸之助も挨拶。クルーズを「地域経済への波及効果は大きく、観光立国におけるニューフロンティア」と語り、「クルーズ船の誘致や港湾での受入環境整備、クルーズの利用促進などを引き続き官民一丸で取り組みたい」と意欲を示した。

 なお、グランプリ以外の受賞作品は以下の通り。

【優秀賞】
阪急交通社「憧れの豪華客船 飛鳥IIに2泊する船旅と名湯の美食旅」
受賞理由:飛鳥IIのクルーズと寄港先の宿泊・観光をセットにした、添乗員同行のパッケージツアー。クルーズ初心者でも安心して参加できるよう寄港先の宿泊を加えたことにより、東京を中心に約2000人・全国で約4800人を集客。このうち7割がクルーズ初乗船であり、新規顧客の開拓に成功した点が評価された。

日立ポートサービス(日立埠頭)「にっぽん丸 大洗発チャータークルーズ」
受賞理由:茨城県日立市を拠点とする会社で大洗港区発着クルーズを長年にわたり実施し、茨城県のみならず東日本地域のクルーズ需要の拡大・掘り起こしに貢献したことが評価された。車社会という地域特性を受けて埠頭に無料駐車場を完備し、北関東・南東北各地からの往復送迎バスを運行するなど参加へのハードルを下げることにも成功しているという。

【特別賞】
クルーズライター 上田寿美子
受賞理由:クルーズ乗船歴50年のベテランクルーズライターとしてさまざまなメディアでクルーズの魅力をアピール。今年1月、外国籍クルーズ船受入再開直前のタイミングでテレビ番組『マツコの知らない世界』に2週連続で出演し、クルーズの売り上げ増に繋げるとともに業界全体を活気づけたことなどが評価された。

金沢港クルーズターミナル
受賞理由:2020年に開業したクルーズターミナル。公共的で汎用的な多目的ホールとすることで、クルーズが来ない時期にも民間利用を可能とし、展示会や旅行イベント、結婚式などで県民に活用される施設となった。全国にクルーズターミナルを建設するハードルを下げることができたと評価された。

静岡県交通基盤局港湾局 清水港
受賞理由:コロナ禍で中断していた外国籍クルーズ船の日本寄港再開第1弾として、3月1日にフェニックス・ライゼンの客船「アマデア」の受け入れに成功。その様子は多くのメディアで報じられ、クルーズ再開の認知度向上にも貢献したことが評価された。

日本国際クルーズ協議会「国際クルーズの再開を目指して」
受賞理由:2021年4月、外国船社の日本支社・日本法人や販売旅行会社、船舶代理店、ランドオペレーターなどで設立した協議会。コロナ禍で停止した外国籍クルーズ船の日本発着・寄港再開に向け、関係各所との調整・交渉をおこなうとともに、外国籍船の感染予防ガイドラインも作成。外国籍船の日本寄港再開に貢献したことが評価された。