香港スターにしてハリウッドスターのジャッキー・チェンが中国本土に家を購入したことが話題になっている。政治的に共産党寄りであることの証明となったからだ。

 ジャッキーは1970年代後半から、映画「スネーキーモンキー 蛇拳」「ドランクモンキー 酔拳」などヒットを連発し、80年代にカンフー俳優としての地位を不動のものにし、90年代にはハリウッドにも進出。世界的な映画スターとなった。

 近年、ジャッキーは共産党との関係を重視する動きを見せており、2012年からは中国人民政治協商会議のメンバーに選出されている。また、19年、香港民主化デモのきっかけとなった「逃亡犯条例改正案」を支持するコメントを発表。さらに、香港における国家安全法の導入にも賛成するなど、大陸寄りの姿勢が鮮明となっていたことから、香港では「裏切り者」との批判を受けている。

 こうした中、複数の中国メディアは、ジャッキーが浙江省杭州市に新居を構えたことを報じた。ジャッキーが購入した高級マンションは広さ400平方メートル、販売価格は4000万元(約8億円)。ジャッキーが入居した8月27日には中国メディアが現地に駆け付け、マンション前にはレッドカーペットが敷かれ、映画祭の授賞式のようだった。

 ユーチューブチャンネル「地球ジャーナル ゆあチャン」で日中の情報を発信している中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「ジャッキーはかつて天安門事件が発生した1989年当時、テレサテンを始め、数々の香港スターたちと共に中国共産党を批判し、学生たちを支持するため、大規模なイベントにも参加しました。現在のジャッキーについて香港市民からは『共産党の犬』という批判も出ています。ジャッキーファンも多くいる日本でも彼の変化に複雑な思いを抱く人も多いのではないでしょうか」

 ジャッキーが香港スターから、中国スターに変わりつつあるようだ。