立ち乗り式の電動2輪車「セグウェイ」の生産が7月15日に終了することが明らかになった。製造元企業が23日に発表した。

 米国の発明家ディーン・カーメン氏が開発したセグウェイは、ブレーキやアクセルはなく、左右の車輪の間の台に立って体の重心を移動することで前進、後退や方向転換ができるという画期的なもの。アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズ氏が「パソコンをしのぐ発明」と話したとされ、2001年に発表された際は大きな反響を呼んだ。

 日本でも“夢の発明”と騒がれ、試乗イベントでは常に行列ができるほどの人気だったが、日本では公道を走行できず、高価なこともあって、一般に普及することはなかった。世界的にも、6124ドル(約65万円)という高価格がネックになったとみられ、空港の警備や観光ツアーなど業務向けの利用にとどまった。

 米メディアによると、累計販売台数は約14万台。セグウェイが目指した新たな近距離の交通手段は、500ドル(約5万3000円)以下で購入できる、スケートボードにハンドルを付けたような形状の電動スクーターが主役になりつつあるという。

 日本では実証実験を除き、公道での走行が事実上認められなかったため、セグウェイの利用が広まることはなかったが、05年11月の日米首脳会談の際、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)がセグウェイを小泉純一郎首相(同)にプレゼント。同12月には官邸でセグウェイに乗る小泉氏の様子が報道されて話題になった。

 また、15年8月、北京で開催された陸上の世界選手権で、カメラマンが乗ったセグウェイが男子200メートルを制した、あのウサイン・ボルト氏にぶつかり転倒させたシーンは日本でも多く報じられた。

 1999年に米東部ニューハンプシャー州で設立されたセグウェイは、15年に中国のベンチャー企業「ナインボット」に買収され、最近は電動スクーターなどに力を入れているという。