学校法人「森友学園」の補助金受給詐欺事件で実刑が確定した前理事長の籠池泰典氏(70)と妻の諄子氏(66)が13日、大阪高検に出頭し、いずれも大阪拘置所に収容された。

 出頭に先立ち、会見に臨んだ泰典氏は「国策捜査に続く判決に承服できない」「森友事件の真相は隠されたままで、解明のために活動する」などと主張。確定判決を不服として再審請求する考えを示す一方、「我が国の法制度を尊重し従う」と語った。

 国有地の格安売却問題に端を発した森友事件は、真相がはっきりしないまま、籠池夫妻による詐欺事件として終結したが、籠池夫妻の“悲願”だった「瑞穂の國記念小學院」は問題が発覚した6年前と変わらないまま、豊中市内にたたずんでいる。

 土地は国に買い戻されたものの、建築工事を請け負った藤原工業が建物の所有権を主張。国は建物を取り壊して更地にした上で返還を求めている。そのため、敷地を取り囲むフェンスには国有地の張り紙が張られ、敷地内には建築資材がそのまま。廃墟の様相を呈し、草木も生え放題となっているが、この日は藤原工業の指示を受けた業者の男性が草刈りを行っていた。

 近くの公園を散歩していた男性は「もともと大阪音大が買うと言ってた土地だけど、これだけミソが付くとね。伊丹もあるからタワマンにもでけへんし(伊丹空港の着陸ルート上にある)。このまま“負の遺産”で廃墟スポットになってもおもしろいかもしれんけど、やっぱりこれからの子供のために活用できる方法を考えてほしい」と語った。

 一方で、籠池氏の“痕跡”は確実に消し去られている。森友学園の系列法人が運営していた「高等森友学園保育園」はすでになく、跡地は住宅となっている。また、森友学園が運営していた「塚本幼稚園」も取り壊され、現在6階建てマンションの建設が進んでいた。詐欺の代償は大きかった。