心不全のため1日午前に79歳で死去したプロレス界のスーパースター・アントニオ猪木さんの自宅に、炎の飛龍・藤波辰爾(68)が2日に弔問に訪れ師匠を追悼した。

 中学校時代に猪木さんに憧れ、卒業後に日本プロレスに入門。50年以上も師事した唯一無二の師匠の訃報を聞いた前日のことを藤波は「連絡をいただいた時には気も動転したし、頭のなかが真っ白。いろいろな思いがありましたね」と振り返った。

 猪木さんとの対面では涙をこらえきれなかった。「入った瞬間に猪木さんの寝顔が見えたものですから。見たら…近付けなかったですね。涙が噴き出したというか、今日はしっかりしなきゃというのはあったんだけど、見てしまうとダメだったですね」と振り返った。それでも「穏やかな(顔だった)。これですこし楽になれたのかなと自分自身で解釈するしかないですね」と、最後まで病と闘い続けた猪木さんに敬意を表した。

「僕は人生すべて猪木さんですからね。プロレス界に入って52年。日本プロレスで初めて猪木さんのカバンを持たせてもらって、背中を流させてもらって、今日も最後お断りしてお顔を頭を触らせてもらったんだけど。お風呂場で背中を流す時にシャンプーもしてあげたんだけど、目をつぶれば頭の形まで記憶のことが懐かしくね。4~50年ぶりに猪木さんの頭を触りました」と語る藤波にとって、猪木さんはあまりにも特別な存在だった。

「自分の人生を変えてもらった恩人。猪木さんの『頑張れよ』のひと言が自分をここまでリングに上げてくれているので。僕が現役にこだわる理由もそういうところなので。我々がこれから猪木さんが作り上げたものを守っていくというかね。それは僕だけじゃなくてレスラー全員が思っているでしょうし」。いまだリングに上がり続ける炎の飛龍は、生涯現役で猪木イズムを体現していくつもりだ。