【台湾・台北発=佐藤愛生】AKB48グループ史上初の国外メンバーを選ぶオーディションの最終(3次)審査が先日、台湾・台北市内で行われ、最年少11歳から最年長21歳までの17人が合格した。今後は“仮研究生”として台湾で歌やダンスのレッスンを行い、その後、AKB48の研究生として日本で活動をスタートさせる予定だ。それにしても当初「合格者は1人」の予定が、17人も合格したのは「TPE48(台北48)結成に向けた布石」と見られている。

 4月17日から5月16日まで応募を受け付けたこのオーディションには、台湾全土から2152人が応募。最終の歌唱審査には42人が臨んだ。


 合格者で注目されたのは、一卵性の双子姉妹であるチェン・シーイア(20)、チェン・シーユエン(20)。大学2年生で、過去に「求婚事務所」「愛殺17」といった台湾のドラマに揃って出演した経歴も。シーイアは「『1人だけ合格したらどうしよう』と思っていた。これからも一緒でうれしい」と笑顔を見せた。


 親日で日本文化に関心が高い台湾では、AKB48関連のニュースを目にする機会も多い。総選挙の印象について、シーイアは「残酷ですね。メンバーとして長くやっているのに、名前を呼ばれなくて順位が後ろに行く結果とか…」。高校3年生のヤン・フーシュエン(18)は「総選挙で16位に入りたいです!」と高い目標を掲げた。


 審査員を務めた秋元康総合プロデューサー(57)は「みなさんの屈託のない笑顔が素晴らしかった。最初の自己紹介がすてきな時間でした」と絶賛。合格者については「日本や台湾のファンに喜んでもらえるはず」と自信をのぞかせた一方、「本来なら(合格者は)1名、スタッフからは多くても3~5名と言われていたんですが…」と告白した。


 歌やダンスについては「まだ全然ダメ」と言う秋元氏。合格者17人は日本行きの“仮切符”ということで、プロの先生によるレッスンを受けた後、「年末から年始にAKBに合流する形になると思う」。さらに“追試”となる最終審査を行う意向も明かした。


 17人という大量合格者を出した背景を探ると、将来的な「TPE48」誕生の布石との見方が浮上。


「台湾出身メンバーたちは日本で活動していきますが、日本で得たスキルを台湾へ“逆輸入”することを想定している。将来的には日本で学んだメンバーたちが中心となり、TPE48を結成することになるでしょう。これまでは日本人メンバーが海外姉妹グループに移籍してAKB48流のスタイルを教えていたが、TPE48はこれまでと違ったやり方と言えますね」(AKB関係者)


 中国・上海を本拠地とするSNH48の宮澤佐江(24=SKE48と兼任)、インドネシア・ジャカルタが本拠地であるJKT48の仲川遥香(23)など、日本人メンバーが移籍して指導するケースはあったが、それよりも国外のメンバーが日本で直接学んだ方が“AKB48流”を確実に習得できるのは間違いないだろう。


 さらに今回の台湾メンバーオーディション開催の裏を探ると、HKT48の指原莉乃(22)の存在があるとか。


「HKT48は台湾公演を行ったこともあるが、その公演を観覧した秋元プロデューサーが現地の“アイドル熱”を感じて、オーディション開催に至った。でも実は、指原の“助言”も大きかったんです。指原はステージ上に居ながら冷静に観客をチェックし、『台湾にはアイドル向きのカワイイ子が多い』などと感触を伝えていた。秋元プロデューサーも公演前、指原に『感じた情報を伝えるように』と、指令を出していたようです」(同)


“追試”となる最終審査で合格したら、正式にAKB48の研究生として活動をスタートさせる予定で、姉妹グループへの所属も検討されている。TPE48成功の鍵を握るだけに、彼女たちの奮起を期待したいところだ。