海底ガスパイプライン「前例のない損傷」 ロシアによる人為的行為か 新たな火種になる可能性

2022年9月28日 21時34分
27日、デンマーク沖の海面で、ガスパイプライン「ノルドストリーム2」から漏れたガスの気泡=AP

27日、デンマーク沖の海面で、ガスパイプライン「ノルドストリーム2」から漏れたガスの気泡=AP

 【モスクワ=小柳悠志】ロシア産天然ガスを欧州に送る海底パイプライン「ノルドストリーム」の運営会社は27日、輸送管に「前例のない損傷」が生じたと発表した。欧州連合(EU)はロシアによる人為的行為である可能性を指摘、欧ロ間の新たな政治対立に発展する可能性がある。
 損傷したのは、2011年に稼働したノルドストリーム1と、ウクライナ侵攻を受け稼働を見送ったノルドストリーム2の両パイプライン。損傷箇所に近いデンマークは、ガス漏れで海面が泡立つ映像を公開した。デンマークやスウェーデンの地震学者は輸送管近くで26日、強い爆発音を観測したと発表している。
 ロシアのペスコフ大統領報道官は27日、「輸送管が損壊した可能性がある」など慎重な発言に終始したが、ポーランドのモラウィエツキ首相は「緊迫するウクライナ情勢に次ぐ破壊工作だ」と疑念を深める。
 EUのボレル外交安全保障上級代表は28日の声明で「入手できるすべての情報は、今回のガス漏れが人為的行為であることを示している」と指摘した上で「欧州のエネルギーインフラを故意に混乱させることは許されない。結束して断固とした対応を取る」と強調した。
 ノルドストリーム1は、今回の損傷前から、ロシア側が「ウクライナでの軍事作戦への対ロ制裁で補修は困難」と主張して輸送量を大幅に削減、欧州側は「エネルギーを武器として使っている」と批判していた。

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