「今すぐ行動しないと…」15歳が訴えた 東京で400人、世界気候アクションに集う若者の「切迫した思い」

2022年9月24日 06時00分
 国連総会の開催に合わせて世界の若者たちが一斉に地球温暖化対策の強化を訴える「世界気候アクション」が23日、全国各地で企画され、東京では買い物客でにぎわう表参道や渋谷でデモ行進があった。高校生や大学生ら約400人が参加。「NO石炭」などと書かれたプラカードを手に「気候変動を止めるのは今しかない」「未来を変えるのは私たち」と声を上げた。(小川慎一)

気候変動対策の強化を求めデモ行進する若者ら=23日午後、東京都渋谷区で(佐藤哲紀撮影)

◆3年ぶりの街頭デモ

 スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(19)への賛同から広がった活動は、コロナ禍で2020年以降はオンラインでの主張が中心になっていた。街頭デモは3年ぶり。
 若者有志でつくる「Fridays For Future(未来のための金曜日、FFF)東京」の増谷いつきさん(15)=都立国際高1年=は「世界の温室効果ガスの半分以上を先進国が出しながら、気候変動の影響を強く受けるのは途上国や社会的弱者の人たち。多くの人に人ごとではないと知ってほしい」と訴えた。
 この日、ツイッターやインスタグラムでは「#気候危機はいのちの問題」というハッシュタグ(検索目印)が付いた投稿も相次いだ。

◆日本政府に「もっと具体的に動いて」

 「私たちが変われば、世界が変わる。未来を守れる」―。3連休初日の23日、地球温暖化対策の強化を訴え、東京・表参道をデモ行進した若者たち。気候危機への切迫した思いが、行動へと駆り立てる。

世界気候アクションに参加した山本崇真さん(左)=23日、東京都渋谷区で

 午後3時前、「世界気候アクション」のデモ出発点となった渋谷区の国連大学前広場で、都立国際高1年の山本崇真しゅうまさん(15)がマイクを手にした。
 6月に若者有志でつくる「FFF東京」に加わったばかり。デモには怖いという思いもあったが「気候変動は将来世代に影響する。今すぐに行動しないと。やらない理由がない」。手製のプラカードには「NO!石炭YES!再生可能」の文字。同級生らにも声をかけ、広場には10人ほどの姿があった。
 千葉大1年の中村千博ちひろさん(19)は、7月にFFFスタッフになった。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんのスピーチに触発され「自分に何ができるか」を考えた。二酸化炭素(CO2)を主とした温室効果ガスの大量排出で、地球は産業革命前から平均気温が既に1度超上昇。各国が目指す「1.5度」に抑える目標達成には、石炭火力発電の全廃が急務だが、日本政府は維持を貫く。中村さんは「もっと具体的に動いてほしい」と話す。

◆原発も「削減に向かって」

 今夏、パキスタンでは国土の3分の1が冠水したとされる大洪水が発生。温暖化の影響で雨量が大幅に増えたという研究結果も発表された。早稲田大高等学院2年の二本木葦智よしともさん(17)は「気候変動が進めば、みんなが予測できないような大災害が起きてしまう」と危機感を抱く。だから「今動くしかない」という。
 岸田政権は2050年の脱炭素社会実現に向け、発電時にCO2を排出しない原発の最大限の利用を掲げ、東京電力福島第一原発事故後に封印してきた新増設方針を復活させようとしている。だが、二本木さんは原発には否定的だ。「放射性廃棄物という大変な問題がある。原発は削減に向かってほしい」と話した。

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