新代表に青柳陽一郎氏 立憲民主党神奈川県連の初選挙で阿部知子氏との一騎打ち制す

2022年9月18日 08時58分

代表選後に気勢を上げる青柳陽一郎新代表(右)と阿部知子前代表=横浜市中区で

 立憲民主党県連は十七日、初めての神奈川県連代表選を行い、国会・地方議員ら百十六人の投票で青柳陽一郎衆院議員=比例南関東=を選出した。任期は二年。県連結成時の二〇一八年から代表を務めた阿部知子衆院議員=12区=との一騎打ちで、青柳氏六十五票、阿部氏五十票、白票一票だった。青柳新代表は「阿部氏支持の五十票も背負って新たな県連運営に取り組む」と結束を呼び掛けた。
 阿部氏は地方議会の立民会派内でハラスメント被害の訴えが相次いでいるとして「ハラスメントに断固として対処する」、青柳氏は党勢に陰りが出ているため「活力ある県連を再びつくる」と主張し、告示された十日から一週間の選挙戦を戦った。
 幹事長などの新役員は青柳氏が指名する。青柳氏は「人心を一新する」としつつ、性別やパワーバランスに配慮した人事にすると述べた。

◆引き継がれた対立構図 「融和」へ前途多難

 立民県連の代表選は、七月の参院選神奈川選挙区で新人二人を擁立し、対立した構図がそのまま持ち越された。多くの地方議員が「もううんざり」と語る主導権争いの「延長戦」は、青柳氏の勝利で決着した。県連内の対立解消が当面の課題となるが、代表選で新たなあつれきも生まれ、融和の実現は容易ではない。
 代表選に出馬した阿部衆院議員は参院選で水野素子氏(当選)の擁立を主導し、青柳氏は寺崎雄介氏(落選)の選対本部長を務めた。代表選候補の二人を支援する地方議員の勢力図も、参院選で対立した構図を引き継ぐように二分された。
 代表選と時期を同じくして、女性地方議員四人がそれぞれ、男性県議などからパワハラを受けていると訴え、ハラスメント対応も争点化した。阿部氏は「パワハラは私の代表在任中に起こった。私の手で解決したい」と強調。青柳氏は「公平、公正な組織運営と調査」を主張し、阿部氏に比べて抑制的な物言いにとどまっていた。
 しかし、阿部氏のこれまでの県連運営に「分断を助長した」との批判があり、阿部氏を支援していたはずの地方議員の離反もみられた。来春の統一地方選前に体制刷新を求める声は根強い。出馬表明が遅れた青柳氏は、こうした背景から一気に巻き返した。
 それでも青柳氏の支持は五割強。パワハラ問題を青柳氏が「うやむやにするのではないか」との疑念もくすぶる。新代表は統一地方選を指揮する立場だが、昨年の衆院選で自民新人に惜敗した青柳氏の求心力を不安視する見方もある。
 青柳氏は代表選出後のあいさつで「皆さん、いろんな感情はあると思うが、結束して力を貸してほしい」と呼びかけた。県連役員人事などで今後、主導権争いが再燃する可能性を払拭できず、青柳氏が訴える「県連内の融和」には多難な道が待ち受けている。(志村彰太)

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