フィンランドとスウェーデン NATO加盟「賛成」の世論が初の過半数に

2022年3月7日 21時10分

5日、ヘルシンキで記者会見するフィンランドのマリン首相㊧とスウェーデンのアンデション首相=AP

 【ロンドン=加藤美喜】ロシアのウクライナ侵攻後、北欧のフィンランドとスウェーデンで、北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持する世論が急速に高まっている。フィンランドのマリン首相は5日、首都ヘルシンキでスウェーデンのアンデション首相と共同記者会見し、両国の安全保障協力を強化すると発表。ロイター通信によると、NATO加盟の是非については明言を避けたが、両首脳とも各政党間で議論を進めていると明らかにした。

◆中立国の歴史的転換点

 フィンランド放送協会(YLE)の先月末発表の世論調査で、加盟への支持が53%に上った。スウェーデンでも、大手日刊紙が委託した4日発表の世論調査で加盟支持は51%となり、ともに初めて過半数に達した。NATO非加盟を貫いて中立を保ってきた両国では、歴史的転換との指摘がある。
 YLEによると、フィンランドでは加盟の是非を問う住民投票を求める署名が5万筆を超え、法の規定で国会で議論することが決まった。マリン氏は1日、「ロシアの侵攻で安全保障を巡る状況は大きく変化した」と述べたが、「現時点で結論を出すのは時期尚早」と慎重な姿勢も見せた。
 ロイター通信によると、スウェーデンのフルトクビスト国防相は加盟支持の世論が急増したのを受け、「国防政策の転換は非常に大きな決断だ。一晩で決めるものでもなく、世論調査の結果で決めるものでもない」と述べた。

◆ロシア側は警告

 両国はロシアの侵攻後、紛争国への武器輸出をしない長年の方針を転換し、ウクライナへの武器供与を決定。それぞれ対戦車兵器などの支援を発表した。NATOはウクライナ問題の全ての会合に両国を招待し、連携強化を図っている。ストルテンベルグ事務総長は1月、「両国が申請すれば(加盟は)非常に早いだろう」と指摘。ロシア外務省のザハロワ情報局長は先月下旬、両国がNATOに加盟すれば「軍事的に重大な結果を招く」と警告した。

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