<財徳健治のマンスリーフロンターレ>リーグ3連覇へ 「絶対王者」のその先

2021年12月15日 07時29分

サッカー天皇杯準決勝の川崎−大分戦を観戦する大勢のサポーター=12日、等々力競技場で

 リーグと天皇杯の2冠は実現しませんでした。12月12日(等々力競技場)、大分との準決勝はPK戦の末の敗退。それでも鬼木達監督は胸を張っていました。
 「1年を通し、選手は最後までよくやってくれた。選手たちの戦う姿勢は目に焼き付いています。サポーターのみなさんに(天皇杯の)タイトルを届けられませんでしたが、来年もぜひフロンターレの選手を後押ししてください」
 38戦、28勝8分け2敗。FWレアンドロダミアンが得点王に輝き、ベストイレブンに7人が選ばれてのリーグ連覇。過去の優勝チームと比べても群を抜いた成績。強さは誰もが認め、大分・片野坂知宏監督は「絶対王者」と評します。でも課題はまだまだあります。リーグ3連覇、複数タイトル、アジアチャンピオンズ・リーグの制覇…。
 目指すは「絶対王者」のその先です。
     ◇
 2010年2月から月に一度掲載してきた本欄は今回で最終回です。多くのJクラブがある中で、フロンターレには特に思い入れがあります。
 J2降格直後の2000年12月にクラブの社長に就任した武田信平さんと大学同期入学で、4年間ソッカー(サッカー)部で共に汗を流した仲なのです。肩入れしたくなるのはしごく自然な流れでした。
 いろいろ教わり、勉強させてもらいました。武田さんは、チームを強くするのはもちろん、「スポーツでもっと、幸せな国へ」をクラブづくりの基盤に置き、「フロンターレ? 何、それ?」といった反応しかなかった地域との交流の道筋を地道な努力でつくりあげました。15年の退任まで優勝が一度もなかったのは返す返すも残念ではありましたが。
 Jリーグの調査では、もう10年以上も地域との密着度ナンバーワン。地域に、フロンターレ愛が満ちています。まさにJリーグ百年構想の具現化。フロンターレのサポーターであることは幸せなことなのです。
 11月20日のC大阪戦の試合終了後、敵方のエース大久保嘉人をフロンターレの選手たちが胴上げしました。かつて在籍中に3年連続得点王の偉業を達成、今季限りの現役引退を表明していた「仲間」へのリスペクト。サポーターの温かい思いのこもった歓声が包み、いいシーンでした。
 武田さんとはO−60(60歳超)のクラブチームで一緒にプレーし、今もO−70で東京都シニアリーグを戦っています。
 長い間のご愛読ありがとうございました。(スポーツライター)=おわり
<ざいとく・けんじ> 元東京新聞記者。広島県生まれ。慶応大ソッカー部時代に全国大学選手権で優勝。東京新聞に入社後はスポーツ取材を担当し、テレビ解説などでも活躍。東京新聞運動部長、特別報道部長などを歴任。著作に「サッカー・アンソロジー」など。

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