コリジョンルール 異例のシーズン中見直しへ 後半戦から新基準

[ 2016年6月30日 05:30 ]

5月11日の阪神―巨人戦、3回2死二塁、脇谷の中前打で二塁走者・小林誠がホームを突きタッチアウトの判定も、リプレー検証後にセーフになった

 異例の見直し!本塁での危険な接触を防ぐために今季から導入された「コリジョン(衝突)ルール」について、日本野球機構(NPB)が運用基準の見直しを検討していることが29日、分かった。ルールの解釈や適用の判断をめぐり、現場から不満の声が続出したためで、新基準では、実際に衝突が起きたかどうかを判断基準とする。7月4日のプロ野球実行委員会で議論し、早ければ同18日の後半戦開幕からの見直しを目指すが、突然の変更となれば、賛否の声が上がりそうだ。

 現場やファン、球界OBから「野球がつまらなくなる」などの意見も出たコリジョンルール。関係者の話を総合すると、来月4日の実行委員会で見直しを図るべきかの方向性を固めた上で、早ければ後半戦開幕となる同18日から新基準の運用を図る。アグリーメント(申し合わせ事項)の改正はなく、あくまで運用面の変更となる。

 「ケガ人が出ていないのはルールの成果だが、現場には戸惑いもある。重要な試合も増えるし、混乱があるのであれば議論していきましょうということ」とNPB関係者は明かした。

 新基準では実際に衝突が起きたかどうかが重視される。走路に入っても衝突が生じなければ、アウト判定は変えず、捕手に警告だけを与える場合もある。これまでは、捕手(または本塁カバーに入った野手)は走路に入ったかどうかを基準としてきた。そのため明らかにアウトのタイミングでも走路進入を理由に、リプレー検証でセーフに判定が覆る事例もあった。

 NPBは検討材料として、コリジョンルールによるリプレー検証を行った今季全11件をDVDにまとめ、各球団やプロ野球選手会に送った。関係者によると、アウト判定からセーフに覆った4件のうち、新基準では3件は適用外になるという。

 基準を見直しても、微妙なプレー自体が減るわけではない。さらなる混乱を避けるためにも、現場への周知徹底が不可欠となる。

 ▽コリジョン(衝突)ルール 本塁でのクロスプレーによるケガを防ぐため、捕手のブロックや走者の体当たりを禁止するルール。大リーグが先行して導入し、日本は今季から取り入れた。公認野球規則(ルールブック)では運用の基準は各所属団体が定めるものとされ、プロ野球では守備側の選手が三塁ファウルラインに沿った走路に入ることが原則的に禁じられている。

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