沈んだドームに笑いと歓声 多田野“技と経験”の超スローボール

[ 2011年8月25日 14:09 ]

<日・楽>必殺の超スローボールで沸かせた多田野

パ・リーグ 日本ハム2-5楽天 

(8月24日 札幌D)
 日本ハムの多田野数人投手(31)が24日の楽天戦に3点リードされた5回から登板。測定不能の「超スローボール」も披露し、今季最長の3回2/3を3安打無失点に抑え、存在感をアピールした。

 多田野が技と経験を凝縮した投球で、スタンドを沸かせた。3点リードされた5回からマウンドへ。6回に連打で無死一、二塁とされながら上位打線を3者凡退に片付け、リズムに乗った。

 極め付けは7回2死からガルシアを迎えた時だ。2ボール2ストライクからの5球目に山なりの「遅球」を披露。入団1年目の08年に先発として7勝を挙げた時にも駆使した測定不可能の「必殺球」に、ガルシアはファウルするのが精いっぱいだった。続く6球目はフォークで空振り三振。沈みがちだった札幌ドームの2万人の観衆も笑いと歓声を送った。

 「僕の役割はロングリリーフ。ストライク先行でシンプルに投げるだけ」。3回2/3を3安打無失点。「勝ち試合で投げる投手はこういう場面ではもったいない。だから僕がカバーして」。昨オフに自由契約となり、年俸は4分の1以下の800万円までダウン。しかし、米マイナー・リーグのハングリーさを経験している右腕は求められる役目を理解していた。「遅球」についても「流れを変えたかったから、前の回から捕手(鶴岡)と相談していた。でもバットに当てられたのは久しぶり」と苦笑いした。梨田監督も敗戦の中で光明を見いだした。「素晴らしい投球をしてくれた。超スローボールも見ることができたしね」。前日の1イニングに続く連投をねぎらった。

 「結果を出して、そのチャンスを待ちたい」と多田野。メジャーを経験した意地が言葉に詰まっていた。

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2011年8月25日のニュース