原監督 重責果たし“栄光の港”に入港!

[ 2009年3月25日 06:00 ]

<韓国・日本>胴上げされる原監督

 【WBC決勝・日本5-3韓国】第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝が23日(日本時間24日)行われ、日本は延長10回の死闘の末、韓国を5―3で下して連覇を達成した。ロサンゼルスの夜空に原辰徳監督(50)が宙を舞い、MVPには松坂大輔投手(28)が2大会連続で選ばれた。メジャー所属選手を除く日本代表は25日に凱旋する。

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船は出港した!WBC連覇へ、侍JAPAN集結

 頼もしい侍たちの手で、指揮官がカリフォルニアの夜空に3度、舞った。連覇。重責を果たし、プレッシャーから解放された原監督の大きな目は、心なしか潤んでいるかのように見えた。

 「イチローのセンター前ヒットは、僕も生涯忘れられないでしょう。凄い侍たちが、世界のつわものたちを相手に勝利した。野球界、日本の国にとっても本当によかった」

 火中の栗。北京五輪惨敗を受けての代表監督就任は、リスクがあまりに大きかった。周囲からは強く反対もされた。それでも受諾した。日本の、侍の野球を世界に見せつけるために。巨人・滝鼻オーナーからは「今年は巨人のことは考えなくて構わない。優勝しなくてもいいぐらいだ」とまで言われた。すべてを侍ジャパンのためにささげた。

 「プレッシャーに押しつぶされそうな時もあった。それを全員ではねのけることができた」

 大会中はオンとオフの切り替えを特に意識した。サンディエゴでは全米最大の動物園を訪れ散歩。軍港では17ドルを払って空母を見学した。「試合開始の4時間前、ユニホームを着替えればピシッと切り替わるんだ」。プレッシャーの中でも決してペースを崩さず、着実に連覇へと歩を進めた。

 新渡戸稲造の名著「武士道」も熟読した。「武士道はその表徴たる桜花と同じく、日本の土地に固有の花である」――。義に勇、仁、礼、誠…。原監督は代表監督就任の際に「野球道は武士道に通じる」と強調。選手のあり方についても「誠実、素直、朗らか」をよしとした。この日は宮崎合宿の落選後、居残り特打を行った栗原をスタメン起用。3泊5日の強行日程でチームに加わったばかりの“ラストサムライ”の心意気に懸けた。対奉重根対策で右打者を5人並べた打線は14残塁。「もう少し監督が良ければ、もっと点が入ったかな」と笑ったが「信じて彼らを出したわけだから」と力を込めた。

 「前回に恥じないようV2というものを達成できた。安ど、そして感謝の気持ちでいっぱいです」。5度目の日韓戦。雌雄を決する決戦でアジアの覇権を奪回した。トロフィーをイチローに自ら手渡した時、原監督が“侍大将”を務めた長く、厳しい航海は終わりを告げた。たどり着いたのは連覇という輝かしい港だった。

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2009年3月25日のニュース