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【インタビュー】サッカー界を盛り上げた“情熱の男”近藤岳登が現役引退を表明「後悔しかない」

2018.01.31

引退を表明した近藤岳登が決断を下した直後にその思いを明かした

2007年、26歳という異例の年齢でのプロデビューから10年以上。ヴィッセル神戸から水戸ホーリーホック、FC大阪と渡り歩いた近藤岳登が、プロ生活にピリオドを打ち、引退することを表明。現在の心境を聞いてみました。

協力=吉本興業

――まずは引退を決めた理由を聞かせください。
「自分の持っているプロ像というのがあるんです。チームに欲しいと思ってもらえるか、ちゃんとオファーが来るのか。そういうものがなかったのが理由ですね。膝の大手術をして、約2年のリハビリを経て去年やっと復帰できた。監督には『一選手としてスタメン、もしくは拮抗したゲーム展開で必要とされるならメンバーに入れてください』と話をしていたが、結局昨年一度もメンバー入り出来なかった。だから引退を決めたというか、引退しかないな、と」

――10年以上に渡るプロ生活で思い出に残っている試合を教えてください。
「2012年のホーム開幕戦の札幌戦ですね。1ゴール1アシストで試合に勝ったんですが、それはJリーグデビュー戦より印象に残ってます。あの試合は自分の中で活躍したな、っていうイメージがあるんですよ。2011年に一番多く試合に出て、2012年は初の開幕スタメン。これから一流サッカー選手になる一年にしたいなと思った年のホーム開幕戦だったから。サッカー人生を振り返っても一番気持ちのいい、最高の試合でした。それまで無我夢中でひたすら一生懸命やってきて、その試合でチームの軸になれたかなと思えたので」

――引退にあたって後悔はありますか?
「もう後悔しかないですよ。ただサッカー選手になるのが夢だったわけじゃなくて、もう一つ先にワールドカップ出場と、僕は小学生のときにワールドカップで得点王になるっていう夢を持ってたんですが、そこに全然近づけなかったし。そういう意味ではあれやっとけばよかった、これやっとけばよかった、って本当に後悔しかないですね。そして現役の間はちょっと痛みがあっても自分の中で痛かったら負けみたいなのがあって、無理してやってケガをするっていうのが続いたんです。それも今考えるとバカだったなって思いますね。試合で活躍するところをサポーターに見せるのがプロ。そこに向けてどうしたらいいのかっていうのを逆算して考えていかないと、アマチュアでしかないんです。でも、それが僕は極端に下手でした。そこも後悔のひとつですね。一生懸命やるけど、違和感があったらパッと辞める勇気がないとプロとしてはダメなんですよ」

――プロ生活で思い出に残っている選手を教えてください。
「ヴィセル神戸で一緒にプレーしていた北本久仁衛です。彼がすごいのは何もブレないこと。何があっても淡々としてるし、悪口を絶対に言わない。普通は試合に出られない、うまくいかないとなったら監督へのグチとかが出るんですが、そういうことを一切全く言わなかったですね。ベクトルが全部自分に向いてるんで、試合に勝てなかったのは自分のせい、試合に出られない、ケガするのも自分のせい、絶対に人のせいにしないんです。僕は右サイドバックで彼は右のセンターバック。常に横にいる存在だったんですけど、いい意味でふざけられるというか。お互いミスしたときも試合中なのに笑って言い合えたりとか、信頼関係がありましたね」

――北本選手の存在は大きかった?
「彼がいてくれたから、僕の右サイドバックは成立したかな、と。僕はどちらかというとディフェンスせずにどんどん前へ突き進むタイプ。元々フォワードなので攻撃が大好きなんですけど、前に行くのを許してくれていた。もうガンガンいけ、裏はオレに任せろって。それにどれだけ助けられたか。それこそ北本久仁衛がいたから僕は試合に出られていた。プロでやれたのは間違いなく彼のおかげです。一時はプライベートもほぼいっしょだったんですよ。朝ごはんいっしょに食って、練習終わったら昼ごはんいっしょに食って、夜ご飯もいっしょに食って、遊びに行くのもずっといっしょで。もういっしょに暮らしててもおかしくないくらいのレベル。ファンの間でも(仲良すぎて)疑惑が出てました(笑)。僕のヴィッセル神戸でのサッカーキャリア、試合に出られたのは本当にすべて彼のおかげです。印象に残っている選手というより戦友というか、親友、心の友です」

――プロ生活の中で得たものは?
「ポジティブに、自分に向けてやっていれば、結局周りも助けてくれる。とにかくポジティブに明るくっていうのを常に意識していました。キャラクターもキャラクターなんで、絶対盛り上げ役にならせてもらってた。神戸に関しては6年間それで契約勝ち取りましたからね、サッカー選手というよりも盛り上げ役で(笑)。自分が楽しくサッカーする、熱くサッカーするというのが、結局サポーターへも恩返しになるし、サポーターからも応援してもらえる選手になれると思っていました」

――今後の活動について教えてください
「さっきも話したみたいに自分が後悔していることってたくさんあるんです。それをこれからプロになりたい子どもたちにちゃんと伝えなきゃいけない、というのが僕のひとつ使命かなと思っています。メッシとかクリスティアーノ・ロナウドみたいなすごい選手は「ああいう選手になりたい」って思ってもらえればそれでいいんですよ。僕は後悔しかないんで、それをどこに伝えていくかって言ったら、プロになりたい子どもたちだと思うんです。夢を託すじゃないですけど、そういうことが繋がっていくと思うんで。

 そして、サッカー選手ってキャリアを終えて何をするってなったとき、サッカーっていう枠の中にしか道がないって思っちゃってる人ばっかりなんですね。サッカーしかしてこなかったから、ほかのことに対しての自信がないんです。芸能界でいえば前園さん、武田さんという先輩はいますけど、彼らは一流選手でやってきての芸能生活なので。そういう人以外でもチャンレジすれば道が開けるっていうのは、僕がパイオニアじゃないけど、やっていきたいなって思いますね。テレビの活動であったり、ラジオの活動であったり、そういうところへアプローチして、現役時代にそれほど活躍してなかった選手がこんなこともできるんだよ、道があるんだよっていうのを見せたい。志半ばでサッカー選手をやめなきゃいけない選手の先駆けになれたらいいなって思うんです。

 また、大学を目指すきっかけとなった、青年海外協力隊やJICAなど、発展途上国への支援活動・協力活動にも興味があります」

――目標やビジョンはありますか?
「番組でいうとバラエティがいいかな? もちろん最初はサッカーに関わりながらのバラエティになってくると思うんですけど。(以前はさんまさんと共演したいというお話もされてましたが?)最終的にはさんまさんみたいになりたいですよ(笑)。司会もやりたいし。さんまさんは人としてみんなを幸せにできるんで、ああいう人間になりたい。誰に見られてもみんなを笑顔にできるというか、元気にできる存在になりたいですね。ほかにはチャンスがあれば俳優業もやりたい。僕、顔はイケてる方だと自負してるんで(笑)。ただ最近気がついたんですけど、主役するような人って僕みたいに濃いやつってあんまりいないんですよ。だから自分のなかでいろいろ分析した結果、織田信長の役とか、アウトレイジとか、あっち系と思うんです。やるなら何かに特化した俳優かな? それにオーディションも受けに行きたいですね。あとはモデルもやりたい。もうちょっと自分みがきにエステとかいかなきゃいけないなって(笑)。とにかくチャレンジする、なんでもチャレンジする人生でありたいです」

――最後にサポーターの方へのメッセージをお願いします
「感謝しかないです。情熱的だってサポーターのみなさんからは言ってもらっていたんですが、その情熱の出どころっていうのはやっぱりサポーターの皆さんが僕にくれた愛とか情熱なんですよ。だから本当にサポーターには感謝しかないですね。あとはこれからもチャレンジし続けるんで、サッカー選手としての近藤岳登じゃなくて、一人の人間としての近藤岳登にも情熱を与え続けてもらいたいし、そういうふうに思ってもらえる人間でいたいなって思っています」

By サッカーキング編集部

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