記者会見で四国独立リーグの設立趣旨などについて説明する、同リーグ運営会社「IBLJ」代表の石毛氏(右)。左は同取締役の中村氏=高松市内のホテル
四国の野球独立リーグ
四国を舞台にした野球の独立リーグ構想について、初めて耳にしたのは七月。当時から来春のスタートを掲げていたが、スポンサーなど資金面や球場使用、練習場の確保など解決すべき問題があまりにも多く、実現性は不透明だった。(→参照記事)
ただ、社会人野球チームの減少などでプレーの機会が縮小した高校生や大学生に「夢を追い続ける場所」を提供しようという石毛氏の考えには共感できた。加えて、野球熱が高くプロ野球空白地の四国に目を付けたこともあり、時間をかけて計画を練り直せば成功の道は開ける、という期待はあった。
しかし、急展開とも思えるこの日の記者会見で、目に見える進展は示されなかった。なかでも、成功の鍵を握る地元企業の支援確約は、四国コカ・コーラボトリングのみ。メーンスポンサーということだが、正式な契約には至っていない。開幕までの半年で、経営基盤にかかわる最大のハードルをクリアできるかどうかはいまだ不透明だ。
事業計画に甘さがあることも否めない。平均入場者を1試合800人と試算しているが、プロ野球2軍戦でも平日のデーゲームは300人程度。入場料を取るにふさわしいゲームができるのかも分からない中で、この数字が達成できるかは疑問が残る。
また、実際の試合は集客が見込めるナイターを予定しているが、徳島、高知にナイターができる球場はなく、県内のオリーブスタジアムでもさまざまな制限があることを調査したのは、つい最近になってからだった。
一方で歓迎の声も各方面から聞こえてくる。各県首長は「四国の活性化につながる」とし、四国経済連合会副会長などを務める梅原利之JR四国会長は「こんないい話はそうはない。必ず成功する」と展望が明るいことを強調。大リーグの経営に詳しい北矢行男多摩大教授(経営論)は「選手養成をうたっている点もいい」と計画を評価する。
プロ野球選手を夢見て汗を流す小学生や高校生らを、日ごろから取材している1人として、日本版独立リーグが成功することを願うばかりだ。何が何でもプロという、ハングリー精神を持った若者のひたむきなプレーも見たい。ただ、大きな壁が立ちはだかっているのも事実。野球界に新たな風を吹き込む今回のリーグ構想は、しばらくは「理想」と「現実」の狭間で揺れ動きそうだ。
(運動部・河田信也)