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インタビュー 元十両希善龍の亀井貴司さん 12年半、不屈の土俵人生 「諦めないこと学んだ」

2020/09/20 09:11

笑顔で12年半の土俵人生を振り返る元希善龍の亀井貴司さん=四国新聞社
笑顔で12年半の土俵人生を振り返る元希善龍の亀井貴司さん=四国新聞社

 大相撲の元十両希善龍の亀井貴司さん(35)=善通寺市出身=が、7月場所を最後に現役を引退した。関取として勝ち越しは果たせなかったものの、十両昇進は史上最多の9度を記録。195センチの体格を生かした上手投げを磨き、不屈の精神で土俵を務めた。木瀬部屋での断髪式後、古里に戻った元関取に、12年半の力士生活や第二の人生について聞いた。
(聞き手、運動部・河田信也)

 ―12年半の土俵人生を終えた心境は。

 「多くの人々が応援してくれ、心の支えになった。感謝しかない。関取として勝ち越す姿を見せられなかったことは悔しいが、やりきった」

 ―最後は得意の上手投げで締めくくった。

 「負けるのは本当に嫌い。最後の場所も全て勝つという気持ちで土俵に立った。新型コロナウイルスの影響で無観客や場所中止が続いた中、観客の中でできたことも良かった。やっぱりお客さんの声援に支えられているんだと実感した」

 ―序二段優勝するなどスタートは順調だった。

 「上手投げという形ができていたから、最初は良かった。ただ、それで勝ち過ぎて少し慢心もあった。幕下昇進後は突き押しに弱いところをなかなか克服できなかった」

 ―2013年春場所に幕下で全勝優勝し、初の十両昇進を決めた。

 「実は場所前、親方に『今場所で駄目なら引退させてください』と相談していた。どうせ最後なら思い切ってやろうと臨んだら、上手投げの連発で連勝。久しぶりに楽しく相撲が取れた」

 ―初の十両場所は6勝9敗。

 「一番力が入る左手小指を骨折し、握力が半分くらいしかない感覚だった。それでも6勝し、十両に残れると思っていただけに、幕下に落ちたのは納得できなかった」

 ―その後は十両と幕下を行き来した。

 「関取として勝ち越すという強い思いだけだった。ただ、十両昇進を決めるたびに気持ちが空回りし、場所前にけがをすることが多かった」

 ―9度の十両昇進記録をどう受け止めている。

 「十両に上がれずにやめる人も多い。恥ずかしいとは思わない」

 ―土俵で得たものは。

 「諦めないこと。相撲界は誰でも入れるし、いつだって引退できる。その中で、自分がどれだけ努力するかで番付は変わる」

 ―第二の人生が始まったが。

 「家族がいるので、まずは就職しないと。もちろん、相撲には携わっていきたい。自分が学んだことを伝え、少しでも相撲に親しんでもらい、香川からプロを目指す子どもを増やしたい」

 ―県出身6人の現役力士の役割も大きい。

 「琴勇輝関は関取として頑張っている。天風さんも上がってきた。十両や幕内で県勢が対決すれば、香川の相撲も盛り上がる。魁ノ隆さんは体は大きくないが、努力すればやれることを証明してくれている。6人とも若い。けがだけには気を付けて頑張ってほしい」

 亀井貴司(かめい・たかし)1985年4月、善通寺市生まれ。小学4年時に与北相撲クラブ(現香川相撲クラブ)で相撲を始め、高松南高では3年時に選抜高校宇佐大会個人3位。日大では3年時に全国学生個人体重別135キロ以下で準優勝した。2008年春場所で初土俵。序二段優勝1回、幕下優勝1回。生涯戦績は296勝275敗5休。最高位は東十両11枚目。

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