四国アイランドリーグが広域化を目指す最も大きな理由は、経営基盤の安定にほかならない。
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リーグは発足時から経営に苦しみ、1年目で約3億円、2年目で約1・5億円の赤字が発生。3年目の今季も約1億円の赤字が見込まれている。運営会社IBLJの鍵山誠社長を中心にさまざまな経営改善策を打ち出し、赤字額は減少。だが、四国内の市場規模で黒字転換を図るのは「不可能ではないが、時間がかかりすぎる」(鍵山社長)。
そこで昨夏から九州への進出を本格的に模索。「プロ野球を目指す若者にチャンスの場を」とリーグが掲げる理念を説明するとともに「野球を通じた地域貢献、活性化」を強く訴え、賛同者を捜した。
すぐに呼応したのは九州で独立リーグ発足の可能性を探っていた長崎セインツの地頭薗代表。今夏、福岡で地域活動を熱心に行っている会社役員の成松広隆氏が鍵山社長らの熱意に打たれ、参入を決意した。来季には間に合わなかったが、宮崎、岡山でも同じような動きが広がっている。
すべての球団関係者に共通しているのは「地域を元気にしたい」という熱い思い。最も経営基盤の弱い高知ファイティングドッグスを受け継いだ経営陣も、球団が消滅した場合の地域に与えるデメリットを考慮した。採算よりもチームを維持することでの地域貢献度を優先したオーナーらに支えられているのだ。
来季は6県合わせて1000万人の市場が対象。スポンサーの反応もいいという。とはいえ、四国ILが苦戦したように九州、特にソフトバンクのおひざ元である福岡で独立リーグが受け入れられるかどうかは不透明。成功の可否はリーグ全体に影響しかねないだけに、慎重かつ大胆な戦略が求められる。(運動部・松井巧造)