本紙の各球団担当記者がお届けする「番記者プロデュース」。第10回はオリックス担当・西垣戸理大記者(32)が、中嶋聡新監督(51)の素顔を紹介する。指揮官のことをよく知らない-という声を耳にし、現役時代からかかわりのある人々を幅広く取材してみると、グラウンド上だけでは見えてこなかった人物像が浮き彫りとなった。
眼光は鋭いし、威圧感があるし、怖いのかな。愛称は「サメ」だというし。中嶋監督が2軍監督に就任して、初めて会ったときはそんな印象を持ったが、取材する機会が増えるにつれ、面白い人というイメージに変わった。その人物像を紹介すべく、指揮官を知る人々に話を聞いてみた。
まずは日ごろからコミュニケーションを取っている福良GM。現役時代は先輩後輩という関係でもあり、多くは話さなかったというが「今はよくしゃべるよ。面白いよ。何しゃべっているかは言えんけどね」と明かしてくれた。よく大笑いし合っている姿を見る。やはり、面白い人のようだ。
選手はどうだろう。中嶋監督が兼任コーチを務めていた日本ハム時代から選手と首脳陣という関係性だった増井は「選手思いで愛がある感じですね」。若手投手が練習を怠っていたり、ミスをすると投手陣のなかでベテランだった増井が代わりに怒られたそうで「デコピンされましたよ(笑)」と振り返った。
現役時代、バッテリーを組んでいた星野伸之氏(本紙専属評論家)は「記憶力はすごかった。俺が覚えていないことも全部覚えている」といい「負けず嫌いで、頑固」と性格を説明した。
指揮官の記憶力のよさを表すエピソードがある。現役時代、よく一緒に飲みに行っていた星野氏。食事を済ませると、カラオケに行くのが定番で「歌詞とか完璧に歌うんだよ。歌うのが好きみたいで、そのときはやっていた曲を歌っていた」という。「俺はサビしか知らないんだけど、サメ(中嶋監督)は歌いだしとか、途中のところも完璧。サメの歌を聞いて『こんなメロディーなんだ』って新しい曲を覚えた。野球と結びつけていいのか分からないけど、何事も完璧にやりたいのかな」という。