日本相撲協会を退職することが決まった貴乃花親方(46)=元横綱=について、協会の八角理事長(55)=元横綱北勝海=は直接の話し合いを打診していたことを1日の記者会見で明かした。この日の臨時理事会では、貴乃花部屋の力士8人と床山、世話人の計10人が千賀ノ浦部屋へ転籍することを承認。歴代6位の優勝22度を誇る「一代年寄」の功労者は、王道を全うすることなく野に下る。
手は尽くした。そんな空気が支配した臨時理事会は「平成の大横綱」の退職届を受理し、約30分間で終わった。その後、会見を開いた八角理事長が胸中を吐露した。
「貴乃花親方は22度の優勝を成し遂げた立派な横綱。貢献も非常に大きいものがある。非常に残念」
コピーなど書類の不備で2度差し戻された所属先変更願は、前日9月30日までに完全版が協会へ届けられた。貴乃花親方から提出された「引退届」も協会の書式に準じる「退職届」ではなく受理されていなかったが、同親方の担当弁護士から「引退を退職と読み替えてほしい」とする上申書を受け入れ、この日付で受理された。
八角理事長は、最後まで直接対話を模索していた。先週末。通常は業務が休みの土、日曜日も理事長らは出勤。力士を受け入れる千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)を通じて面会を打診した。しかし「貴乃花親方と直接会って1時間半くらいかけて説得してくれたが、貴乃花親方から断られた」という。