■11月24日
長野にある県立白馬(はくば)高校、といってもピンとこない人がほとんどだろう。モーグルの上村愛子ら多くの五輪スキー代表選手を輩出した知る人ぞ知る高校だ。生徒数の減少が続き統廃合も検討されていたが、地元白馬村や隣の小谷村が協力。教育での地域活性化を目指し「国際観光学科」の設置で全国から生徒を募集するという。
卒業生の五輪選手は冬季五輪に5度出場の上村はじめ、ソチ五輪のノルディック複合銀の渡部暁斗ら9人。現在も全校生徒の約4分の1にあたる36人ものスキー部員がいる。しかし、最近は生徒数が適正規模に満たず、統廃合や分校化という再編対象に挙がっていた。
そこで関係者が知恵を絞っての切り札が高校では珍しい国際観光学科。白馬村にはスキー客など年間6万人の外国人が訪れることで、「日本有数の山岳観光地を担う人材の養成を目指す」と北村桂一校長は話す。ただ観光は文科省の教科課程にはないため、実用的な会話を習得する英語主体のカリキュラムを計画している。
定員は40人で、今月15日にはそれぞれ特色を打ち出して「国内留学」の生徒を募る他県の2校と合同で東京都内で説明会を実施。来月13日にもう1度開くという。「個別の問い合わせもありスキーを目指す生徒もいる。白馬というブランドの力もあるようだ」と北村校長は十分な手応えを感じている。
これまで寮がなく地元以外の部員はOB会が世話する下宿住まいだった。用具にもお金がかかる競技だが、寮の整備や用具費の支援も決まり安心して競技に打ち込める環境が整った。「スキーの名門」への地元の愛着に支えられ、これからも世界で戦える選手を育ててほしい。 (今村忠)