面と向かってはっきり言われることはありませんでした。でも、チームメートが私への不満を漏らしているのは、何となく聞こえていました。
東京・小平二中の1年生の秋。新人戦でのことです。私は試合に出場させてもらいましたが、背の高い選手は守りが弱いというイメージがあって、すでに身長1メートル70を超えていた私は徹底的に狙われました。案の定、ミスにミスを重ねました。「代えてほしい」と思いましたが、監督の作道講一郎先生は交代させてくれません。結局、最後まで代えてもらえず、セット15-3くらいで大負けしました。《当時は1セット15点制》
試合後、私が落ち込んでうつむいていたら、監督から厳しい言葉をあびせられました。
「何を落ち込んでいるんだ。落ち込んだり反省したりは練習してきた者がすることだ。お前に、その資格はない」
その通りでした。
テレビアニメ「アタックNo.1」に出合い、コンプレックスだった背の高さを生かせるバレーボールを始めようと思ったのが小学4年生の時。近くにスポーツ少年団などはなく、本格的に始めたのは中学に入ってからでした。
私にとってバレーは生きていくための手段であり、存在できる場所-。そう思ったはずだったんですが、もともと運動は苦手で体力もない。入部してすぐ、練習についていけなくなりました。1日練習を休むと、2日目、3日目と、サボることに後ろめたさが薄れます。