八王子実践高の1年生エースだった大林さんを紹介する1984年3月24日付のサンケイスポーツ。身長は16歳で1メートル82だった
ギャラリーページで見る 小学4年生の頃、住んでいた11階建て団地の屋上に上がっては、下ばかり見つめていました。
「ここから飛び降りたら、楽になれるのかな」
そのたび、「靴をどうしよう」とか、「いじめていた子を懲らしめるために遺書を書いてからにしよう」とか考えて思い直しましたが、子供心にも深刻な悩みを抱えていました。
当時は運動が苦手でした。体育の成績は5段階の3。息が上がることさえ嫌で、外で遊ぶことはなかったですね。好きだったのは宝塚(歌劇団)などのミュージカルや音楽番組。歌手になりたくて、家の中で歌や踊りをまねていました。
ところが、それが同じクラスの男子にばれてしまったんです。
幼稚園の頃から他の子より大きくて、身長は小学6年で1メートル70。「デカ林」とか「ジャイアント素子」とか呼ばれて、いじめられていました。歩くだけで「地震だっ」と机の下に隠れるまねをされたこともありました。
団地の住民専用のような小学校で、1年から6年まで1学年1クラス。逃げ場はありません。目立たないように膝を曲げたり猫背になったり。発言も避けて、どんどん消極的な性格になっていました。
長身のコンプレックスに加え、「将来の夢はアイドル」だと知られてしまった。「こんなデカい女には無理だよ」などと化けもの扱いされ、自殺しようとまで思い詰めたのです。
そんな頃です。テレビでアニメ「アタックNo.1」の再放送を見たのは。奇跡の出合いでした。