宝塚歌劇団

宙組新人公演主演の瑠風輝、包容力たっぷりにダ・ヴィンチ役を好演

宝塚歌劇団宙(そら)組公演「『異人たちのルネサンス』-ダ・ヴィンチが描いた記憶-」の新人公演が23日、兵庫・宝塚大劇場で行われた。入団7年目までの生徒で上演される公演。入団7年目の男役スター、瑠風輝(るかぜ・ひかる)が1メートル74の長身と伸びやかな歌声を生かし、主人公のダ・ヴィンチを包容力たっぷりに演じた。

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入団7年目。自身最後となる新人公演で4度目の主演を務めた瑠風は、カーテンコールで「実在の人物である芸術家の繊細で自由な心の表現が難しかった。無事にこの日が迎えられ、ホッとしています」と切り出した。作中、仲間に助けられた主人公のように、「私一人では乗り越えられず、新人公演メンバーに助けてもらいました」と感謝を述べた。

「異人たち-」は、フィレンツェの若き芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチを主人公に描くオリジナル作。ダヴィンチ、その幼なじみのカテリーナ、彼女を愛人にするメディチ家の当主、ロレンツォの恋愛模様を独自の設定で綴(つづ)る。

終演後の取材で、瑠風は「芸術家を演じることが一番難しかったポイント。東京の新人公演に向け、芸術家らしさと(心の)奥に秘めたものを出せたら」とあらためて反省を口にした。

4度目の主演だけに「やるたびにレベルアップしなければと、自分の中で重圧を感じていた」。だが、本役の宙組トップ、真風涼帆(まかぜ・すずほ)から「入団7年目なんだから、自由に演じればいい。成功しなきゃ、頑張らなきゃと思わなくていい。いかに役を楽しむかだよ」という言葉に救われたという。

「東京公演の新人公演も、新人公演を卒業してからも、その言葉を大切に、向上していきたいと思います」と力強く語る。

相手役の入団2年目の夢白(ゆめしろ)あやとは、昨年、「神々の土地」の新人公演でコンビを組んだ。「当時、夢白は入団1年目の入ってすぐ。どこから教えたらいいかと思ったが一生懸命ついてきてくれた」

今回、夢白との学年差が役柄に生きた。「『どうにかしてあげたい』と思う、包容力を自然に出すことができた。最後の新人公演が夢白と一緒で良かった」と笑顔で語った。

その夢白は、ヒロイン級の役柄を演じた「神々の土地」を経ての、初ヒロイン。開演前、瑠風の姿を見て「瑠風さんを信じて頑張ろうと思いました」と話す。大変緊張していたそうだが、本役の娘役トップ、星風(ほしかぜ)まどかから「頑張ってね!」のエールとともに、ハイタッチをしてもらった。「うれしくて元気になりました」と笑顔で語っていた。

東京宝塚劇場での新人公演は12月6日。

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